今更聞けない!ウール(羊毛)の種類とその特徴

冬場のコーディネートで大活躍してくれるニットアイテム。

そしてニットアイテムを製造する上で欠かせない存在といえば、それはもちろんウール(Wool)です。

皆さんもニットアイテムを選ぶ際に何気なくウールというキーワードを目にして、そして使っているのではないでしょうか?

しかしながら実際のところ、ウールってそもそも何の動物から取れる毛なのか?ウールにはどんな種類があるのか?などなど、意外と知られていないことが多いのも事実。

本日は、知ってそうで意外と知らないウールの特徴や種類を中心に詳しくご紹介いたします。

1 ウール(Wool)とはそもそも何なのか?

ウールは羊の毛

「ウール」と表記した時、一般的には羊毛もしくは羊毛を使った織物のことを指します。

山羊(やぎ)と混同されてしまうこともありますが、ウールはあくまで羊(ひつじ)の毛のことです。

ただし、アンゴラ、モヘヤ、アルパカといった数ある毛繊維の品種全般を総称して「ウール」と表現することもあります。用いられる文脈によって多少意味が変わりますが、基本的には羊毛のことを表していると考えて問題ありません。

ちなみに洋服のタグについている「衣類表示」の場合、「ウール」と表記した場合には羊毛を指し、「毛」と表記した場合には動物の毛繊維全般のことを指します。

例えばアンゴラ、アルパカ、ラクダ、カシミア、モヘヤといった繊維はウールではなくあくまで「毛」です。(※単にアンゴラ、カシミア、アルパカなど品種名を表記することもあります)

素材を見分ける上での豆知識として覚えておくとちょっと便利かもしれませんね!

2 ウールという毛繊維の持つ特徴

ウール生地

2-1 吸湿性・保温性に優れている

ウールの持つ素晴らしい特徴といえば、それはやはり吸湿性・保温性です。

冬場に大活躍してくれるニットアイテムのほとんどにはウールが使われています。

ウールの表面には人間の毛髪でいうところのキューティクルに相当する「スケール」と呼ばれる鱗に覆われています。このスケールの隙間から水蒸気(湿気)を吸い込むことができるのです。

またウールの繊維自体が微かに波打っているため、自然と繊維と繊維の間に空気を含みます。私たちの体から発せられた暖かい空気をニットの繊維がキープすることで、保温効果も期待できるわけですね!

最近ではアクリルを中心とした化学繊維系の安価なニットアイテムも登場してますが、機能性の面ではやはり本物のウールには敵いません。

2-2 他の繊維よりもお手入れが少し大変

吸湿性や保湿性には優れているウールですが、他の繊維よりもお手入れがちょっとだけ大変なのが難点の1つ。

実は、ウールには「縮絨性(しゅくじゅうせい)」と呼ばれる性質があるため、アルカリ性の溶液に浸してから摩擦を加えることで繊維同士が絡まりフェルト状になってしまうことがあるのです。

家庭の洗濯機でうっかりニットをそのまま洗ってしまった結果、生地が思いっきり縮んでしまったなんて経験はありませんか?

これもウールの持つ「縮絨性」によるものなのです。

基本的には毎回クリーニングに出すか、百貨店などで販売されているニット用の洗剤を用意して自分で手洗いをする必要があります。

3 ウールにはたくさんの種類がある

羊種によって異なるウール

一口にウール(羊毛)と言っても、実はたくさんの種類があります。

ウールにおける種類とは、簡単に言ってしまうと羊の品種のことです。以下では、一般的な市場で流通しているニット製品に使われている代表的なウールの品種についていくつか見ていきましょう。

3-1 メリノ

メリノウールは、メリノと呼ばれる羊種から採れる羊毛のことでウールの代表格と表現しても過言ではありません。

羊毛の中では、最高級クラスの品種として知られており、メリノウールを使用しているニットアイテムは必然的に値段も高くなる傾向にあります。

国によってフランス・メリノ、ニュージーランド・メリノなど品種はさらに分かれますが、中でもオーストラリア産のメリノウールはメリノの中でも最高峰と称されるほど。

数あるウールの中でも繊維が細く繊細な肌さわりであるにも関わらず、耐久性にも優れておりまさに万能の羊毛です。

3-2 ロムニー

ロムニーは、イギリス ケント州のロムニー原産とする羊種からとれるウールです。

名称には原産地名が名付けられているものの、そのほとんどはケント州ロムニーではなく、ニュージーランドで飼育されています。(ニュージーランドで飼育されている羊の約45%がこの品種)

ニットアイテムに使われることが少ないためあまり馴染みはないかもしれませんね!

毛足も長い上に太くて丈夫な毛質が特徴で、主に高級なカーペットなどに使用されることが多い品種のウールです。

3-3 ブラックフェイス

ブラックフェイスとは、その名の通り顔の黒い(black face)羊種から取れるウールのことです。

ロムニー同様、毛足が長く太いため主に高級なカーペット、ブランケット、スコッチツイードなどに使用されています。

どちらかというと硬くて粗い肌さわりのウールであるため、肌に触れるニットアイテムの素材として使われる機会はほとんどありません。

3-4 コリデール

コリデールとは、リンコルトンと呼ばれる羊種に先ほどご紹介したメリノを交配させることで生まれたウールの1つ。

リンコルトンとメリノ両品種の良いところ取りをしたウールで、メリノウールよりは若干ながら毛が太いものの、柔らかく優しい肌さわりが特徴的です。

ちなみに一般的な手芸店などで売られているお馴染みの毛糸も、実はこのコリデールを使っている場合がほとんど。

私たちは、幼い頃から家庭科の編み物の授業などでも、知らず識らずのうちにこの品種に触れていたわけですね!

3-5 クープウォース

クープウォースとは、1968年に初めて純血種として認められた羊種から取れるウールのこと。

他の羊と比べて成熟がとても早い上に、ふんわりとした質の高いウールが採れることから繊維業界でも重宝されているのだとか…。

ちなみに現在、ニュージーランドで飼育されている羊の20%はこのクープウォースという品種であると言われています。

3-6 ペレンデール

ペレンデールは、ニュージーランドに位置するマッシー農家大学に勤めていたジョン・ペレン教授によって開発された羊種です。

荒れた丘陵地でも生きていくことができるほどタフでなので、他の羊のように飼育環境をしっかり整える必要がないのだそう。

毛質は弾力性に富んでおり、先ほどご紹介したコリデール同様、手芸用の糸としても多く流通しています。

3-7 ドライスデール

ドライスデールとは、農家大学に勤めるドライ博士によって開発された羊種から取れるウールのことです。

先ほどもご紹介したロムニーの中でも、毛足が長く質の良い羊を選りすぐって交配し続けることで誕生しました。そのためペレンデール同様、開発者(F.W.ドライ)の名前が付けられています。

ただしこちらはカーペット専用のウールであるため、ニットウェアなどに使われることは基本的にありません。

3-8 サフォーク

サフォークとは、イギリスサフォーク州を原産とする羊種から取れるウールのことです。

このウールは繊維自体に弾力があり空気をたっぷりと含んでくれるため、保温性が高いという点が大きな特徴。

本来は食用の羊ですが、毛足の長さ、太さ、弾力などバランスも良くニットウェアなどにも使用されています。

日本国内でもこのサフォーク種の羊の飼育数は多く、牧場などでも見かける機会は比較的多いと言えるでしょう。

まとめ

本日は、ウールの基本とその種類について詳しくご紹介しました。

ニットなどに使用されている毛繊維全般を「ウール」と表現する方もいらっしゃいますが、ウールとは「羊毛」のことであるということを覚えておきたいですね!

また一口にウールと言ってもその種類は実に様々。本日ご紹介した8種の羊は、数ある羊種の中のほんの一部に過ぎません。

品種によって毛足の長さ、太さ、弾力、質感などが変わるため、ニットウェアに使うのか、カーペットや家具に使うのかなど用途によって使い分ける場合がほとんどです。

衣類表示にウールの品種までは書かれてはいません。しかし、今後どこかでウールと出会った際には本記事でご紹介した内容を少し思い出していただければ幸いです。