数多くの人気スニーカーに採用される「バルカナイズ製法」とは?

ふとスニーカーを見てみると、稀に目にする言葉”バルカナイズ製法”。

スニーカー好きの人なら一度は耳にした事があるはず…。

しかし、名称もあまり知られていないため、その製法について詳しく理解できているという人は多くないのではないでしょうか?

そこで今回は、スニーカーファンならぜひとも知っておきたい「バルカナイズ製法」について、その歴史や魅力、バルカナイズ製法によって作られる代表的なスニーカーに至るまでじっくり見ていきましょう。

1 バルカナイズ製法とは?

バルカナイズ製法とは?

バルカナイズ製法とは、硫黄を加えたゴム底と靴本体を接着し、釜にいれ熱と圧力をかけるスニーカーの接着方法。

別名「バルカナイズドスニーカー」や「加硫釜製法」とも言われるスニーカーの最も基本的な製法とされています。

スニーカーは足の甲部分の布地であるアッパーと、靴底のゴム素材であるソールでできていますが、基本的に使われている布とゴムは全くの異なる素材…。

そのため当時の技術では、くっつける際に十分な強度を出すのは厳しいとされていましたが、それを可能にしたのがこのバルカナイズ製法といわれています。

1-1 バルカナイズ製法は1839年にアメリカで誕生した

正式名称は「ヴァルカナイゼイション」というバルカナイズ製法は、今から170年以上も前の1839年にアメリカ合衆国の発明家チャールズ・グッドイヤーと工学者であるトーマス・ハンコックによって誕生しました。

当時の生ゴム(ゴム製品の原材料)は、劣化しやすいく品質面での問題や様々な課題が…。

グッドイヤーは、そんな生ゴムに目をつけ、数々の失敗を重ねた結果、偶然にもストーブの上に生ゴムを落とすというハプニングから現代のゴム製品の基礎となるゴムが完成しました。

やがて、工学者であるトーマス・ハンコックによって調査され、とうとうイギリスにてゴムの製法が確立。

火と鍛冶の神「バルカン」の名前をとって「ヴァルカナイゼイション」と名づけられたと言われています。

1-2 基本製法であるバルカナイズ製法は想像以上の手間暇と労力が

その歴史は古く、最も基本的な製法とされるバルカナイズ製法は、想像以上の手間暇と労力がかかるとされています。

本体(上物のアッパー部分)と靴の底部分となるソールを接着するために、100℃以上の加硫缶で1時間以上の加圧・加熱をした上に、圧着後は熱風と白煙が立ち込める中、スニーカーを冷ますために長時間大型扇風機の風に晒すという工程が必要でした。

さらには、工場全体に煙と薬品の匂いが充満するため、高額な設備を設置しなければいけません…。

ほとんどの工程は職人による手作業という手間暇や労力に加えて、コスパもあまり良くないことから徐々に国内でバルカナイズ製法を行なう工場がどんどん減っていきました。

2 バルカナイズ製法で作られたスニーカーの魅力

2-1 弾力性と耐久性

バルカナイズ製法で作られたスニーカーは、スニーカー本体とゴムソールの境目を補強する為にラバーテープがグルリと巻かれていることで、横方向や斜め方向への動きにも非常に強い弾力性と耐久性があります。

その他にも、レトロ感のあるゴム底のカラーやクラシカルな雰囲気を醸し出す外観など…。様々な魅力があるバルカナイズ製法のスニーカー。

ラバーテープの見せる表情もバルカナイズ製法で作られたスニーカーのアイデンティティになっているようです。

2-2 縫い目のないシンプルで洗練されたデザイン

バルカナイズ製法で作られたスニーカーは、なんといっても縫製糸の縫い目が一切ないシンプルで洗練されたデザインが魅力の1つではないでしょうか。

長年、愛用することで親指や小指の付け根に当たる部分の接着が浮いてしまったり、踵部分のソールが削れてしまうなど…。経年の消耗はありますが、消耗したソールやアッパーは、それはそれで味わい深いレトロな良い雰囲気を醸し出します。

履き続けることで、それぞれのスタイルに合わせて徐々に馴染んでいくという点も多くの根強いファンを魅了するポイントなのかもしれませんね。

3 バルカナイズ製法のスニーカーの代表例

近年ではバルカナイズ製法によって作られているスニーカーは市場から減ってきています。

一方で、スケートボード用のスニーカーや、根強いファンの多いクラシックな王道ブランドの定番のスニーカーでは、今でもバルカナイズ製法が使われています。

例えば、CONVERSE【コンバース】やVANS【バンズ】、スペルガ【SUPERGA】の定番モデルをはじめ、有名ブランドであるナイキ【NIKE】やアディダス【adidas】など…。数多くの有名ブランドがこのバルカナイズ製法を採用しています。

まとめ

今回はスニーカーファンなら、ぜひとも知っておきたい「バルカナイズ製法」について、その歴史や魅力、代表的なスニーカーなどについて見ていきました。

クラシカルな製法ではあるものの、今もなおその技術はモダンなスニーカーにも搭載されています。

シンプルで洗練されたデザインと優れた弾力性と耐久性は、数多くの有名ブランドが採用するのも納得です。