香水の付け方とは?種類やマナーから考える大人のフレグランス講座

仕事・プライベート問わず「香り」を身にまとうという行為は、もはやファッションの1つにもなりつつある時代。

その一方で、例えば香水の種類、付け方、付ける部位ひとつで、芳香の広がり方や周囲の人に与える印象も大きく変化します。

自分らしく香水を楽しむことは大切ですが、TPOもまた紳士淑女の嗜み。

そこで本記事では、香りのメカニズム、香水の種類・芳香成分といった基本知識をおさらいしつつ、香水の正しい付け方、意外とやってしまいがちなNGな香水の使用方法に至るまで詳しくご紹介します。

身近な香水にまつわる最低限のTIPSを押さえて、お手持ちの素敵な香水をスマートに楽しみましょう。

1 そもそも香水が”香る”メカニズムって?

そもそも香水が"香る"メカニズムって?

そもそも、普段から何気なくつけている香水は、なぜ「香る」のでしょうか?そのメカニズムについて確認していきましょう。

1-1 ポイントは芳香分子と大脳辺縁系

香水には数多くの香料が含まれています。これらの香料に含まれる芳香分子こそ香水における「香り」の根源。

例として、手首に香水をつけた場合を考えてみましょう。

手首に付いた香料が体温によって温められ揮発すると、空気を介して芳香分子が鼻腔奥の粘膜「嗅上皮」に付着。さらに、この嗅上皮よりも奥に位置する「嗅細胞」がシグナルを出します。

このシグナルが嗅神経、嗅球を通じてやがて大脳辺縁系へと情報を伝達することで、私たちは「香り(におい)」を感じることができるのです。

ちなみに大脳辺縁系の1つである扁桃体や海馬は、記憶や感情を司る重要な役割を担っています。

言い換えれば、自分が身に付ける香り1つで周囲の人間の感情を大きく左右することもできるわけです。

1-2 芳香成分と揮発速度の関係

香りのメカニズムについてもう1つ知っていただきたいのが、芳香成分と揮発速度の関係です。

「香水の香りは時間の経過とともに変化する」という話を聞いたことがある方も多いはず。実はこれ、香水に含まれる複数の芳香成分の揮発速度が異なることによって生じる現象なのです。

香水に含まれる芳香成分は、揮発する速度の違いによってトップノート・ミドルノート・ベースノート(ラストノート)の3種類に分けることができます。

時間の経過とともに移り変わる香りのグラデーションもまた、香水における醍醐味の1つです。

揮発温度の異なる3つのノート

  1. トップノート…一番最初に香る芳香成分。揮発する速度が最も早く、15~30分程度で消えることが多い。
  2. ミドルノート…トップの次に揮発性の高い芳香成分。香りの核となる芳香成分で、20分~2時間ほど持続する。
  3. ベースノート…揮発速度の最も遅い芳香成分。香り全体の土台となり、時間が経ってからほのかに立ち上ってくる。

2 香水には4つの種類がある

香水には4つの種類がある

香水は含有香料の濃度によって、パルファム、オードパルファム、オードトワレ、コロンの4種類に分けることができます。

香料の濃度は、香りの強さや持続性にも影響する非常に重要なポイントの1つです。

2-1 パルファム

香料の割合が15~30%の香水は、パルファム(パルファン)と呼ばれます。

4種類の中で香りの強さ、持続性ともにトップクラス。香料をたっぷりと使用しているため、値段も比較的高めに設定される傾向にあります。

リッチな芳香を楽しむことができる分、付けすぎると周囲に迷惑を与えてしまう可能性も。スプレータイプなら、1プッシュを軽く塗り広げるだけでも十分香ります。

2-2 オードパルファム

香料の割合が10~15%の香水は、オードパルファム(オードパルファン)と呼ばれます。

香料の濃度が下がる分、パルファンより価格は廉価に設定される傾向にあります。

とは言っても、香りも比較的強く、持続時間も4〜6時間とかなり長め。パルファム同様、使用する際にはある程度量を制限する必要があります。

2-3 オードトワレ

香料の割合が5~10%の香水は、オードトワレと呼ばれます。

前述したパルファムやオードパルファムに比べると、香りの強さや持続性はかなり弱め。出勤前にオードトワレを付けても、お昼過ぎ頃にはすっかり香りが消えてしまうことも。

その分価格も安く、デイリーユースしやすいというメリットもあります。

2-4 コロン

香料の割合が1~5%の香水は、コロンと呼ばれます。

一般的に、香水のことを「コロン」と表現することもありますが、厳密にはコロンと表記した場合、香りの強さ・持続性ともに最も弱いものを指します。

持続時間はだいたい1~2時間前後。「普段は香りを身に纏いたくないけれど、商談や予定がある時にだけ香らせたい」といったように、ライトな感覚で使用できる点が大きなメリットです。

3 香水の正しいつけ方

香水の正しいつけ方

3-1 まずは体を清潔な状態にする

香水をつける前は、最低限体を清潔な状態にしておくことがルール。

デオドラントスプレーとは違い、香水には雑菌の繁殖を抑えて体臭を抑制するような効果は基本的にありません。不衛生な状態で使用すると、香料と体のニオイが合わさって不快な香りになってしまうこともよくあります。

まずは入浴を済ませる、もしくは無香料のデオドラントシートで体を拭き取っておく等、体の清潔な状態にすることから始めましょう。

3-2 体温の高い部位に少量つける

香りをうまく広げるポイントは、人体の中でも体温の高い部位につけること。

太い血管のある首筋、うなじ、耳裏、細かい血管の集まる手首といった部位が基本です。ちなみに香水 = 上半身につけるものと考えられてしまいがちですが、下半身につけてもOK。

例えば、ももの内側足首などに少量つければ体を動かすたびにふんわりと香りが漂います。

使用する量は香水の種類によって異なりますが、パルファン、オードパルファンなら1プッシュ、オードトワレ、コロンは1~2プッシュを目安にすると良いでしょう。

3-3 時間による香りの変化も考慮する

先ほども説明した通り、香水に含まれる芳香成分は揮発速度によってトップノート、ミドルノート、ベースノートの3種類に分類できます。

基本的に付け始めは、最も強いトップノートが香っている状態。一方で、トップノートは時に「クドい」印象を与えてしまう可能性もあります。

自然な香りを演出をするのであれば、予定の30分~1時間前を目安に香水を付けてみましょう。

付けてから30分~1時間経過する頃には、香水の世界観を最も反映したミドルノートがふんわり香っているはず。このように、香水をつける際には揮発による香りの変化を考慮することも大切です。

4 よくある”NGな”香水のつけ方

よくある"NGな"香水のつけ方

4-1 デオドラント代わりに香水を使う

気温が高くなるにつれて増加するのが、香水をデオドラント代わりに使う方法。

前述した通り、香水は清潔な肌につけるのが基本です。

また香水には汗のニオイを抑制する効果は基本的にはありません。万が一デオドラントスプレーの代用品として、脇の下や足の裏などに付けると大惨事。

汗は香りでごまかすのではなく、デオドラントペーパー等で拭き取るようにしましょう。

4-2 直射日光の当たる部位に使う

直射日光の当たりやすい部位への使用は原則として避けましょう。

香水に使用されているエッセンシャルオイル(精油)の中には、光毒性を有するものも存在します。紫外線と反応して、肌にダメージを与えてしまうこともあるのです。

中でも気をつけたいのが、ベルガモット、レモン、グレープフルーツのいずれかを使用している香水。

可能であれば含有成分をチェックし、この3つの成分のいずれかが含まれている場合には、耳裏を始め日光の当たらない部位のみの使用に留めましょう。

4-3 髪の毛に香水を使う

強く香らせたりあまり毛髪に香水をつける方もよくいます。

しかしながらこれも原則としてNG!香りが強すぎる上に、香水に含まれるエタノールによって毛髪にダメージを与えてしまう可能性もあります。

もし髪から良い香りを漂わせたい場合は、香料入りのヘアクリームやヘアスプレーを使用しましょう。

ただし、これらのヘアケアグッズも香水と併用することで香りがキツくなってしまうこともあります。香りの強さや相性を考慮した上で選ぶことを忘れずに。

4-4 洋服に直接香水を付ける

香水のつけ方に関するTIPSで、「衣類に直接香水を吹きかけてもOK」なんて言われることもあります。しかしながらこれも原則NG。

衣服にシミができてしまう可能性もあるからです。

もしどうしても衣類に香りをつけたいのであれば、あらかじめハンカチやコットンに香水を少量染み込ませてポケットに忍ばせておきましょう。

衣服にシミもつかず、自然な香りを楽しむことができるはずです。

5 香水は「マナー」も非常に大切

香水は「マナー」も非常に大切

5-1 TPOを考慮した香りの選択を

香水はエチケットの1つとして扱われることも多くなりました。

しかしながらTPOを間違えると、良かれと思って付けた香りが失礼にあたることもよくあります。中でも気をつけたいのが仏事を始めとしたフォーマルシーン。

特にお葬式ではできるだけ香水を控えた方が無難です。

他にも、診察のために病院へ訪れる際、入院している友人や家族のお見舞いに行くときも要注意。強すぎる香りによって周囲の患者さんの気分を悪化させてしまうこともあるため、配慮した方が良いでしょう。

自分にとっての良い香りは、必ずしも周囲にとっての心地よい香りとは限りません。場をわきまえた香りの選択もまた、スマートな大人の嗜みの1つです。

5-2 レストランに行く際は特に要注意

TPOに関連して、特に気をつけたいのがレストランに訪れる時。

実は、私たちが食べ物を口にした時に感じる美味しさは「味覚」のみならず「嗅覚」も非常に重要な役割を果たしていると言われています。

香りは食事の美味しさにダイレクトに影響する大切な要素の1つなのです。

もし強い香水をたっぷりと付けてレストランに訪れれば、自分だけでなく、一緒の空間で食事をともにする人全員に影響を与えてしまう可能性もあります。

料理の味をしっかりと楽しむためにも、レストランに訪れる前はできるだけ香水を使わない、もしくは香りを抑えめにするといった配慮も大切です。

まとめ

今回は、香水のメカニズムとつけ方を中心に詳しくご紹介しました。

普段何気なくつけている香水も、付ける部位や経過時間まで考慮することで、自分の最も理想とする香りのイメージを周囲に印象付けることができるわけです。

「好きな時に、好きな部位に、好きな量つける」香水はもう卒業。これからは、TPOを意識して香水の種類、部位、使用量を考えてみましょう。

ちなみにうっかり香水をつけ過ぎてしまった際は、アルコール入りのウェットティッシュで拭き取ることで軽減することができますので、併せて試してみてくださいね。