雨の多い季節や急な雨対策には欠かせない「防水加工」の製品。
防水加工といえば、アウトドアグッズやレインウェアを始めとした様々なアイテムに施されている代表的な加工の1つですよね。
しかしながら、防水加工の種類や似て非なる「撥水加工」との違いまでしっかりと理解している方はかなり少ないのではないでしょうか?
そこで今回は、知っておきたい防水加工に関する基本知識を中心に、撥水加工との違い、防水加工製品のお手入れ方法に至るまで徹底解説したいと思います。
1防水加工とは?
水が浸透しないよう生地の裏側にコーティング加工を施すことを、防水加工といいます。
防水加工は裏側まで水を到達させません。そのため裏側は全く濡れずに防水性を保つことができ、生地に穴が開いてない限りはその防水効果を継続し続けることが出来ます。
またコーティングする際、どの防水加工を選択するかによって耐水性の強弱が変わってきますので、用途に応じてそれぞれ処理が変わってきます。
2 防水加工の種類
防水加工には主に、ラミレート加工、ポリウレタン加工、ポリ塩化ビニール加工の3種類が存在します。加工方法ごとの特徴や違いについて詳しく見ていきましょう。
2‐1 ラミネート加工
ラミネート加工とは、綿や麻など布地の表面を貼り合わせて積層させる加工方法を指します。
このラミネート加工はバッグやポーチなどで身近に使われています。また、布地の表面だけ加工したものが一般的なのですが、裏側をラミネート加工したものもあります。
2‐2 ポリウレタン加工
ポリウレタン加工(PU加工)とは、生地の表面に樹脂をコーティングする加工方法のことです。最もメジャーな防水加工としても知られ、様々な製品に利用されています。
ただしデメリットも多く、通気性が悪さや、水と反応すると加水分解により剥がれたり異臭を放つことがありますので注意が必要です。
2‐3 ポリ塩化ビニール加工
ポリ塩化ビニール加工(PVC加工)とは、生地の表面をポリ塩化ビニールと呼ばれる樹脂でコーティングする加工方法のことです。
アウトドア向けのバックパックにもよく用いられています。
ただしポリウレタン同様に通気性は低く、熱や太陽光にも弱いため劣化スピードは比較的早め。あくまで消耗品として考えた方が良いでしょう。
3 防水加工と撥水加工との違い
防水加工とよく混同されがちなのが、撥水加工です。よく混同されがちですが、実は両者は似て非なるもの。では何がどう違うのか、具体的に見ていきましょう。
3‐1 防水加工の特徴
防水加工は、生地の隙間にゴムや合成樹脂を塗り込むことで、一切水を通さないようにしています。「撥水加工」と違って、水を弾いているわけではないのです。
ただし布地の隙間がない分、外部からの侵入を徹底的に遮断するため通気性が悪く熱がこもり蒸れやすいというデメリットも。
最近は蒸れにくくする加工方法もありますが、通常の防水加工と比べて価格が高くなってしまいます。
3‐2 撥水加工の特徴
撥水加工は、シリコンやフッ素で生地表面をコーティングすることによって水を弾いています。あくまで弾いているのであって、水の侵入を完全に防ぐことはできません。
そのため、霧雨のような細かい雨や激しい雨などの水圧がかかった場合は浸透してしまうことも。
ただし、生地の隙間までは塞がれていない分、「防水加工」よりも風通しがよく蒸れにくいというメリットもあります。
以下の記事では撥水加工についても詳しく解説しています。こちらも併せて参考にしてみてくださいね。
4 防水加工のお手入れ方法
防水加工アイテムのお手入れにおける基本中の基本は、「濡れたら乾かす」そして「汚れたら洗う」の2点。
防水加工は水の侵入を防ぐ特殊な加工をしているため、濡れたままの保管や、汚れの付着によって特殊加工の効果を劣化させていく事に繋がります。
また普段着での使用でも、汗や皮脂などの汚れも付着しますので定期的に洗濯する事を心がけましょう。
4‐1 家庭用洗濯機を使う場合
家庭用の洗濯機を使って洗う場合は、破損予防のためファスナーやボタンを閉め、洗濯用ネットに入れてから洗いかけるようにしましょう。
下記に一般的な手順を説明していますが、洗う際は、洗濯タグの内容を優先するのが基本。もしご自身でのケアが不安な場合は、お近くのクリーニング業者への依頼も併せて検討してくださいね。
用意するもの
- 市販の中性洗剤
- 洗濯用ネット
- 防水スプレー
手順
- 市販の中性洗剤を入れて、弱モードで洗う。(コーティングの劣化を防ぐためにも脱水は短めに)
- 洗濯機から取り出したら軽くシワを伸ばしてハンガーに掛け、風通しの良い場所で陰干しする。
- 専用の防水スプレーをまんべんなく吹き付けてスプレー後に低温のスチームアイロンをかける。
4‐2 手洗いの場合
手洗いの場合は、たらいや浴槽にぬるま湯を張ってその中で押し洗いましょう。汚れがひどい場合は、柔らかい布やスポンジなどを使ってもOKです。
以下、手洗いの手順をまとめました。
ちなみに「家庭用洗濯機を使う場合」の章で説明したように、仕上げに低音のスチームアイロンをかけても良いでしょう。製品によっては、防水効果が回復する場合もあります。
手順
- 容器にぬるま湯(30℃以下)を張り、適量の洗剤(専用洗剤か市販の中性洗剤)を溶かす
- 汚れやすい首元や襟元を重点的に、優しく押し洗いする
- 洗剤が生地に残ると防水機能の低下に繋がるため、水でじっくりとすすぐ
- すすぎ後は優しく押し出すようにして水をきる
- 水を切った後はハンガーに掛け、風通しの良い場所で陰干しする
まとめ
今回は「防水加工」の基本知識を中心に、「撥水加工」との違いやお手入れ方法を中心にご紹介しました。
防水加工を施したアイテムは、水を通さない「完全防水」となっているので雨具やアウトドアグッズに大変重宝されますね。
しかしながら、デメリットとして防水加工は水を一切通さないコーティング加工を施しているので、通気性が悪くとても蒸れやすいです。ですので運動や作業への使用は少し不向きかもしれません。
防水加工を施したアイテムを選ぶ際はメリットとデメリットをしっかりと把握して慎重に吟味しましょう。