麻の種類、いくつ知ってる?種類によって異なる特徴や性質を徹底解説!

麻と言えば、その涼しげなルックスと快適な着用感から夏場に人気の素材ですよね。

特に「リネン(亜麻)」は夏用のシャツとしても定番の素材なので、ひょっとすると「リネン = 麻」と考えてしまっている方も多いかもしれません。

しかし、ひと口に「麻」と言っても世界には20種類以上の麻があることをご存知でしたか?つまり、リネンはあくまで麻における種類の1つにすぎないのです。

ついつい単語1つで括って考えられてしまいがちな「麻」。

今回は意外と知られていない麻の種類や、種類ごとの特性などについて詳しくご紹介していきます。

1 そもそも麻ってどんな素材?

麻の布地

麻とは、植物の表皮や茎などから採れる植物性繊維の総称です。どの植物から採れた麻なのかによって、リネン、ラミー、ヘンプ、ジュードなど名称が変わります。

「最も涼しい天然繊維」と言われており、吸汗吸湿性に優れ、シャリっとした涼感のある肌さわりは汗をかきやすい夏場の衣服の素材としても重宝されています。

自然な風合い、そして使い込むごとに生じる「ヨレ」もまた麻という素材における大きな魅力の1つです。

ただし弾力性に乏しいためシワになりやすく、洗濯や保管方法には注意しなくてはなりません。

2 麻には意外とたくさんの種類がある

冒頭でも触れた通り、世界にはなんと20種類以上の麻が存在します。

今回はその中から代表的なものをいくつかピックアップして、その特徴をまとめてみました。種類によって肌さわり、質感、強度などが異なるという点にも注目してください。

2-1 亜麻(リネン)

麻の中で最もメジャーものと言えば、やはり亜麻(リネン)です。亜麻は「人類最古の繊維」とも言われ、その歴史はなんと古代エジプト文明にまで遡ります。

棺に入れるミイラを包むための袋にも、この亜麻が使われていたと言われるほど。

そんな長い歴史を有する亜麻は、麻の中でも毛羽立ちが少なくまるでコットンを彷彿とさせるような優しい肌さわりが特徴的です。なのでザラッとしたシャリ感の強い麻のイメージとはちょっと異なります。

ただし、他の麻と比べてシワがつきやすく変形しやすいため扱いには注意が必要です。

2-2 苧麻(ラミー)

亜麻と並んで麻の中でも比較的メジャーな種類として知られているのが、この苧麻(ちょま)です。

麻の中で最もシャリ感が非常に強く、肌に触れた時の涼感は群を抜いています。通気性、吸汗性、放湿性にも優れているため、夏場の衣服の素材として重宝される素材です。

また他の麻にはない、まるでシルクを思わせるようなツヤ感と光沢も苧麻の特徴の1つと言えます。

ちなみに滋賀県名産の上質な麻織物として有名な「近江縮(おうみちぢみ)」にも、この苧麻が使用されています。

2-3 大麻(ヘンプ)

規制の関係から日本国内ではほとんど流通していませんが、大麻(ヘンプ)もまた麻の種類の1つです。

なんとなく違法なイメージが強いかもしれませんが、それはあくまで許可なく栽培したり大麻自体を持ち帰ってしまった場合のお話。繊維として用いる分には何の問題もないのです。

抗菌性・消臭性・耐久性などにも優れており、実はとても優秀な繊維。

大麻はたとえ痩せた土地であっても比較的少量の水で育つ上に、化学肥料や農薬などもほとんど必要ありません。昨今は、環境にも優しいエコな植物として見直されつつあるようです。

2-4 黄麻(ジュート)

麻の中でも特に環境に対して優しいことで知られるのが、黄麻(ジュート)です。

育成がとても早く、3ヶ月程度の短い期間で再生産することができます。しかも繊維となる工程で発生する廃棄物のほとんどが土へと戻っていくため、環境を汚染することもありません。

そして環境への優しさだけでなく、その耐久性もポイント。

ガシガシ使い込んでも破れにくいため、夏場の定番サンダルであるエスパドリーユのソールや、カーペットの裏地などにもジュードが使われています。

2-5 洋麻(ケナフ)

ジュートと同じく環境に優しい素材として近年注目を集めているのが、洋麻(ケナフ)です。

成長スピードがとても早い上に、その生育中にたくさんの二酸化炭素を吸収してくれます。そのため育てているだけでも、地球温暖化の防止に寄与してくれるわけです。

通気性にも優れシャリ感も強いため、夏用のシャツ生地に混紡されることもあります。

ただし洋麻はどちらかというと衣服よりも、紙資源として利用されることの方が多く、木材パルプ紙や再生紙の不足分を補完する素材として重宝されているようです。

2-6 マニラ麻(アバカ)

フィリピンの首都であるマニラを原産地とするのが、マニラ麻(アバカ)です。

湿気にも強く耐久性にも優れていますが、その分繊維が非常に太くしっかりとしているため紡績には適していません。そのため衣服ではなく、ほとんどが工業資材として利用されています。

例えば、ロープ、帆布、紅茶のティーパックにもマニラ麻が多く使われているようです。ちなみに私たちが普段使っている日本の紙幣の素材にも、このマニラ麻が使われています。

麻というと身に付けるモノのイメージが強いかもしれませんが、実際は意外と色々なシーンで活用されているようです。

2-7 サイザル麻(ヘネケン)

マニラ麻と同じく工業資材用の素材として重宝されているのが、このサイザル麻(ヘネケン)です。

優れた耐久性と柔軟性を併せ持つことから、農業用のロープ、漁業用ロープ、袋、ブラシ、カーペットなど様々な用途で活用されています。

マニラ麻同様、紡績には適していないため衣服として直接肌に触れることこそありませんが、産業を影から支えている頼もしい素材と言えるでしょう。

余談ですが、実はサイザル麻は正式には麻ではなくリュウゼツランの仲間です。歴史的に繊維として活用されてきた背景のある植物は、たとえ麻の仲間でなくても「麻」の名称が付けられることがあるということも覚えておきましょう。

3 品質表示の「麻」はどれを指しているのか

ここまで麻の種類について詳しく説明してきました。

では製品の品質表示タグに記載されている「麻」とは、ここまで紹介してきた種類のうち、一体どれのことを指しているのでしょうか?

3-1 「麻」と表示可能なのはリネンとラミーのみ

日本国内において、品質表示タグに「麻」と表示できるのは「亜麻(リネン)」と「苧麻(ラミー)」のみとなっています。

つまり品質表示における「麻」とは、数ある麻の種類の中でも「亜麻(リネン)」と「苧麻(ラミー)」の2つのことを指しているわけです。

ちなみに2017年4月1日より改定された家庭用品質表示法では、単に「麻」だけではなく具体的に「亜麻」「リネン」「苧麻」「ラミー」の4つを表示してもよいことになりました。

3-2 その他の麻は「植物繊維」と表示する

「亜麻(リネン)」と「苧麻(ラミー)」以外の麻は、「植物繊維」と表示しなくてはなりません。

なので例えば黄麻(ジュート)を使っている製品であったとしても、品質表示には「麻」と表示してはいけないのです。少しややこしいかもしれませんが、現在の法律ではそのようなルールになっています。

つまり「植物繊維」と表示されている場合、実際にどの種類の麻が使用されているかまでは、製造会社に問い合わせなければ判断できないわけです。

まとめ

本日は、麻の種類について詳しくご紹介しました。

麻はどうしても一括りで考えられてしまいがちですが、ウールをはじめとした他の素材同様、麻もまたその種類によって質感や性質なども大きく異なります。

たとえ同じ麻であっても、マニラ麻やサイゼル麻のように紡績に適さない種もあるのです。

日本国内では冒頭でご紹介した「亜麻(リネン)」と「苧麻(ラミー)」が流通の大半を占めていますが、麻にも意外とたくさんの種類があるということをぜひ知っておいてください。