今注目されているサスティナブルファッションとは?条件から問題点まで詳しく解説

近年、メディアや雑誌、WEBサイトなどでも度々目にするようになった「サスティナブルファッション」というキーワード。

サスティナブルファッションとは、環境へに影響や雇用の問題、動物の生態系などへの配慮をした「持続(維持)が可能なファッション」のことです。

現在、様々なメーカーやブランドで衣料品を生産するにあたって、素材や製造工程、そして製造後の問題に至るまで考慮した取り組みが始まっています。

一方で、その製品を購入する立場にある私たち消費者の多くが、サスティナブルファッションについて詳しく知らない、または意識していないことも事実です。

そこで本記事では、サスティナブルファッションについて、サスティナブルの意味やアパレル業界の抱える問題を中心に、近年問題視されている「グリーンウォッシング」に至るまで詳しくご紹介します。

1 そもそも「サスティナブル」とは?

そもそも「サスティナブル」とは?

そもそもサスティナブル(sustainable)とは、持続(支持)することが可能、耐えうるなどの意味を持っています。日本語では単に「持続可能性」と表現されることもあるようです。

しかしながら、「持続することが可能(持続可能性)」という説明ではいまいち理解しづらいですよね。

一般的に、持続可能性(サスティナブル)とは、「自然環境や資源などに悪影響を与えず、これから先の時代でも継続が可能な生産・開発」といった意味合いで使われています。

自然環境を破壊してしまう生産では、継続的な活動は不可能です。さらに、破壊が進んだ自然環境は元には戻らず、私達の生活に必要不可欠な天然資源の確保すらできなくなってしまいます。

暮らしを豊かにするための生産活動が、結果として自分たちの首を締める結果になりかねないというわけです。

これから先も自然と人間が共存していくために、世界規模での「サスティナブル」な取り組みはより一層重要性が増していくことが予想されます。

2 アパレル業界にも訪れた「サスティナブル」の波

2-1 アパレル業界と環境問題

アパレル業界と環境問題

繊維、アパレル業界は、環境への深刻な問題を抱えています。

アパレル業界によって排出されるCO2(二酸化炭素)は、全業界の約10%に及びます。さらに、水資源に至っては、アパレル業界が全世界の約20%の排水を生み出したと言われるほど。

衣料品に使用されている繊維は、そのほとんどが再生可能な素材にも関わらず、全体の80%以上の量が焼却、埋め立て処理されていると言うのですから驚きです。

さらに、アパレル業界が抱える問題は、環境への影響だけに留まらず、生産者や労働環境の問題にまで及びます。

メーカーやブランドは、衣料品を生産するにあたって、生産コストを削減するため、発展途上国での生産をメインとしているケースが多いことをご存知の方も多いのではないでしょうか。

しかしながら時に、雇用主が労働者に対して適正な賃金を支払わない不当な関係や、劣悪な労働環境が大きな問題になることも。

近年こうした問題は、ファストファッションが流行したことからさらに深刻に、より顕著になっていると言えるでしょう。

2-2 サスティナブル・ファッションという考え方の誕生

サスティナブル・ファッションという考え方の誕生

前項目で解説した、ファッッション業界の自然環境への影響や労働環境などの様々な問題。こうした諸問題を2030年までに解決すべく、2030アジェンダに記載されたのが「SDGs」と呼ばれる目標です。

「SDGs(Sustainable Development Goals)」とは、2015年の国連サミットで採択された「2030アジェンダ」にて設定された持続可能な開発目標のこと。SDGsは、17のゴールと、それらを達成するための169のターゲットから構成されています。

近年、ファッション業界でもSDGsに取り組む動きが見られるようになりました。そして誕生したのがサスティナブル・エシカル(倫理・道徳的な)ファッションと呼ばれる概念です。

ファッションにおけるサスティナブルとは、使用される素材やその生産工程、素材を加工して製品を仕上げる工場の環境や労働者への待遇、製品の輸送や販売経路など、商品を製作してから販売し、ユーザーに届けるまでの工程をこれから先の時代でも持続・維持することができるファッションのこと。

このように、自然環境や生産・労働者への配慮を始めとした多くの要素に考慮したサスティナブルな動きは、現在アパレル業界で広がり始めています。

最近では、GUCCI(グッチ)やVersace(ヴェルサーチ)、Armani(アルマーニ)などを始めとした名だたるハイブランドが、リアルファーを使用しない「ファーフリー」を宣言をしたことで大きな話題となりました。

さらに、これまでサスティナブルとは程遠いかと思われていたユニクロやH&M、ZARAなどのファストファッションブランドもサスティナブルな取り組みの目標・計画を宣言しています。

今後のファッション業界でメーカーやブランドが生き残るために、サスティナブルファッションという考えは必要不可欠なのではないでしょうか。

3 サスティナブル・ファッションに必要な諸条件

サスティナブル・ファッションに必要な諸条件

3-1 アニマルフリー

サスティナブルファッションの条件の中で欠かすことができないのが「アニマルフリー」。アニマルフリーとは、動物性の毛皮や獣毛、羽毛などの素材を使用しない取り組みのこと。

衣料品に使われる動物性素材の多半数は、人工的に飼育された動物から採取される素材が使用されています。

品質維持のために狭いケージ等で厳格な管理を行う人工飼育は、動物たちにとっては非常に劣悪な環境です。もちろん飼育されている動物は、時期が来たら素材を採取され、解体されてしまいます。

さらには、動物だけの問題ではなく、素材を生産している生産者も低賃金で雇用されている場合も。製品を使用するユーザーからしても、気分の良い話ではありませんよね。

そんな背景から、近年ではハイブランドを筆頭に動物性の素材を使用しないアニマルフリーの取り組みを始める有名ブランドが多く見られるようになりました。

3-2 オーガニックコットン

「オーガニックコットン」の使用もサスティナブルファッションにとって重要な条件です。環境への影響を考慮して生産されたオーガニックコットンは、生産者にも優しいことも特徴。

化学薬品や農薬を使用しないので、生産に関わる関係者の身体を害すことがなく、健康面でも安心です。

また、オーガニックコットンは、次の項目で解説する「フェアトレード」も密接に関わっています。

オーガニックコットンについてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてみて下さい。

3-3 フェアトレード

サスティナブルファッションの条件の中でも、素材を提供する生産者や工場で勤務する労働者にとって最も大切なことがフェアトレード。

フェアトレードとは、公平な貿易、公正な取引のこと。この「公平な貿易・公正な取引」とは、発展途上国などで生産された素材や製品について、品質や労力に見合った適正価格で継続的に取引を行うという意味です。

アパレル業界では、多くのメーカーやブランドが、製品の製造に掛かるコストを低価格で抑えるために発展途上国での生産をメインとしています。

しかしながら、労働者にしてみれば生活のギリギリ、または生活ができないレベルの賃金で働かなくてはならない状況を快く思っているはずがありません。

さらには、劣悪な労働環境が原因で悲惨な事故に繋がってしまう事件も起きています。

このような状況を改善するためのフェアトレードは、サスティナブルファッションにおいて、非常に重要な取り組みと言えるでしょう。

生産者や労働者なくして私たちが普段楽しんでいるファッションは存在しないのです。

3-4 リサイクルとリユース

サスティナブルファッション最後の条件は、リサイクルやリユース、ヴィンテージ、アップサイクルです。

メーカーやブランドが再利用素材を使って作るリサイクル素材のアイテムは有名ですよね。

近年では、オークションやフリマアプリの知名度が上がり、二次流通市場も大きな盛り上がりを見せています。中には、リユースやヴィンテージアイテムを集めて販売しているセレクトショップも。

デザイナーがヴィンテージで探したアイテムを加工して作成したリメイク製品を売りにしているブランドや、廃棄素材を利用して物づくりをするアップサイクルを取り入れるブランドも登場しました。

これまでは、毎シーズン売り切れない程に多量の衣料品を製作し、廃棄処分をしているというメーカーやブランドが多かったものの、近頃は生産量を減らす取り組みをする企業も増えています。

今後もリサイクルやリユースを活かしたアパレル業界のマーケットは、さらに拡大していくかもしれません。

4 私たちにもできるサスティナブルなアクション

4-1 再生素材の分別

リサイクルやリユースは、生産者(サプライヤー)側だけではなく、私たちユーザー側にも大切なことです。

例えば、メーカーやブランドが再生素材を使って作るリサイクル素材のアイテム。この再生素材を作るには、元の素材が必要ですよね。再生素材の元となる素材は、私たちが使っていた衣料品や日用品などを原料とした素材です。

私たちが正しく分別をしないと再利用できる素材も焼却、埋め立て処分されてしまいます。

日頃からゴミの分別を意識することで、再利用できる素材を無駄なく再利用できる環境に送り出すことが可能なのです。

また、充分に着ることができるのに着なくなってしまったアイテムは、リサイクルに出す、人にあげる、中古で販売するなど極力捨てないようにするのもサスティナブルな取り組みと言えるでしょう。

4-2 ものを大切に使用する

衣料品や家電製品を始めとした日用品を使えなくなるまで大切に使用することも、私たちができる重要な取り組みです。購入時には本当に必要なものだけを考えてから購入し、大切に長く使うことを意識しましょう。

金額は上がってしまうものの、大量生産ではないテイラーメイドなアイテムを購入することもおすすめです。

例えば、オートクチュールやオーダーのアイテムは、価格は高いですが、その分生産の工程や生地、製法などにこだわって作られている場合が多く、その価格に見合った質を持っています。

また、近年では、フェアトレードや地元の雇用などを始めとした社会貢献を意識したハイブランドも多く見られるようになりました。それらのブランドの商品を購入することで労働者や発展途上国への支援が可能な場合も。

無駄を減らし、愛着を持って大切に使用できるアイテムを購入することもサスティナブルなアクションなのです。

5 グリーンウォッシング問題

グリーンウォッシング問題

サスティナブル・ファッションを意識する企業が増える一方、近年問題視されているのが「グリーンウォシング」です。

グリーンウォッシング(greenwashing)とは、自然環境への配慮をしているかのように欺瞞する、上辺だけの環境訴求行為のこと。環境への配慮を表すグリーン(green)と上辺を取り繕うという意味のホワイトウォッシング(whitewashing)を組み合わせた造語です。

1980年頃に、欧米の環境保護の活動家を中心に使われ始めたと言われています。

メーカーやブランドが、環境に配慮しているかのような印象を持たせる広告やイメージを使用しているものの、実際のところ配慮をしていなかったり、偽った訴求をしている場合が、グリーンウォッシングにあたります。

消費者に環境保護を意識させながら曖昧な表現を多く使っている場合や科学的根拠が欠如している場合、関係のない箇所で自然の画像を使っている広告などには注意が必要です。

中には、環境へ配慮した製品を生み出すために、環境を汚染しているなどの問題も。

このようなグリーンウォッシング問題を防ぐためにも、サスティナブルなアクションを起こす前には、企業、メーカーについて自身で調べ、確認してからの行動を心がけましょう。

まとめ

今回は、サスティナブルファッションについてご紹介しました。

本来のサスティナブルは、持続(支持)することが可能、耐えうるなどの意味を持っています。

そして、サスティナブルファッションとは、環境への影響や雇用の問題、動物の生態系などへの配慮をした、これから先の時代でも持続することが可能なファッションのことです。

サスティナブルな取り組みを進めているファッション業界ですが、まだ十分と言えるだけのサスティナブルなアクションが起こせていないのが現状。

一方で、環境への影響や生産・労働者への問題は、ファッション業界だけの問題ではなく私たち自身の問題でもあるのです。

自分たちだけではなく、次の世代の人たちの将来も考え、今できるサスティナブルなアクションを起こすのが大切なのではないでしょうか。皆さんもぜひ、本記事を参考に普段の生活から無理なくできるサスティナブルな取り組みを始めてみて下さいね。