普段何気なく履いているスニーカー。皆さんはそんなスニーカーの「ソール(靴底)」のこと、どれくらい知っていますか?
ついつい「ソール」という単語1つでざっくりと括って考えてしまいがちですよね。
しかし実際は、一口にソールといってもアウトソール・ミッドソール・インソール、さらに使用される素材によって様々な種類が存在します。
スニーカーの進化は、すなわちソールの進化と言っても過言ではありません。
今回はそんな縁の下の力持ちであるスニーカーの「ソール」に注目して、詳しく解説したいと思います。
1 スニーカーソールは大きく分けて3種類
一口にソールといっても、使われている部分によって名称が異なります。
まずは最低限知っておきたい基本知識として、アウトソール・ミッドソール・インソールの3つのソールについて押さえておきましょう。
1-1 アウトソール
アウトソールとは、地面に直接触れる靴底の部分のこと。一般的に「ソール」と表現した場合には、アウトソールのことを指す場合が多いようです。
グリップ力や歩行時の安定性などにとても大きな影響を与えます。
メーカーによってはグリップ力を重視したものや、硬さ・柔らかさに特化したものなど様々な性能を兼ね備えたアウトソールも。
地面と私たちとの間で毎日頑張ってくれている頼り甲斐のあるパーツと言えるでしょう。
1-2 ミッドソール
アウトソールとインソールの中間に挟まっているのが、ミッドソールと呼ばれるパーツです。前述したアウトソールのように地面に直接触れることはありません。
しかしながら、歩行時に地面から伝わってくる衝撃を吸収し、足への負担を軽減するといった非常に重要な役割を担っています。
New balanceやNIKEといったスニーカーが履きやすいのも、優れたミッドソールを採用しているということが大きな理由の1つと言えるでしょう。
ミッドソールはスニーカーの履きやすさを決定づける影の主役なのです。
1-3 インソール
インソールは、ミッドソールのさらに上にある中底部分のことです。もっと簡単に言ってしまうと「中敷き」のこと。
スニーカーを履いた時に、私たちの足に直接触れるパーツになります。アウトソールやミッドソールとは異なり、自分で簡単に取り外せるものがほとんどです。
なのでインソールだけ取り替えて自分好みにカスタマイズする方もいます。
足裏への圧力を分散したり、歪みを調整するといった歩行時のパフォーマンスに影響を与えるとても重要なパーツの1つです。
2 スニーカーソールに使用される主な素材は?
2-1 天然ゴムソール
ローテク寄りなスニーカーによく用いられるのが、天然ゴムソールです。主にラテックスと呼ばれるゴムが使用されることが多く、クレープソールと呼ばれることもあります。
VansやAdidasなどのローカットシューズや、デザートブーツのソールとしても有名です。レトロでヴィンテージ感のある色合いがコーディネートのアクセントに。
天然ゴムゆえに重さもあり、濡れた地面の上では滑りやすいという欠点もありますが、クッション性も高く柔らかな履き心地が特徴的です。
2-2 合成ゴムソール
合成ゴムソールは、その名の通り石油から人工的に生成した合成ゴムを使用したソールのことです。
どちらかというと一般的にはスニーカーのソールよりも、レザーシューズ用のソールというイメージが強いかもしれません。
グリップ力に優れていますが、天然ゴムと比べるとクッション性の面は低め。ちょっと硬めな履き心地になります。
ただし耐久性は非常に高いため、ガシガシ履いてもへこたれない頼もしさが魅力です。
2-3 ウレタンソール
ウレタンソールとは、その名の通りウレタンやポリウレタンで作られたソールのこと。
ラバーソールよりもクッション性が高く耐久性や耐摩耗性の面でも優れているため、様々なスニーカーの素材に使用されています。
ただし加水分解による劣化も起こりやすいため、履かずに長期間放置しておくといつのまにかソールがボロボロになってしまうことも。
ちなみにそんなウレタンソールの欠点を解消した、EVAソールという特別な製品も広まっています。
2-4 スポンジソール
スポンジソールはその名の通りスポンジ素材を使用したラバーソールの1種で、使い勝手の良さから様々なスニーカーに採用されています。
最大の魅力は、何と言ってもその軽さ。とにかく軽量な上にグリップ力も強く、クッション性も高いため長時間歩行していても疲れにくいのが特徴です。
メリットだらけのようにも見えますが、スポンジという素材の特性上かなり磨耗しやすく、耐久性という点では他のソールよりも少し劣ります。
3 世界的に有名なスニーカーソールたち
3-1 ビブラムソール
イタリア発の世界的なソールメーカーといえば、何と言ってもVibram社のソールです。
グリップ力・クッション性・耐久性などに優れ、スポーツサンダルやトレッキングシューズ、さらに革靴に至るまで様々なシューズのソールとして採用されています。
ソールの張り替え(リソール)時に、あえてビブラムソール変更する方も多いのだとか。
ビブラムソールについては以下の記事でも詳しくご紹介していますので、併せて読んでみてくださいね。
3-2 コマンドソール
コマンドソールは、登山用シューズ向けに作られたちょっと無骨なソールです。
当初はトレッキングシューズやレザーブーツのソールとして利用されることが多かったようですが、最近はスニーカーのソールとして採用されることもあります。
グリップ力が極めて高く、オンロード・オフロードどちらでも使える優れもの。
ミリタリーテイストが好きな方にもうってつけです。
3-3 ワッフルソール
ワッフルソールは、あのNIKEを世界的スニーカーブランドに押し上げた代名詞的存在です。
NIKEのランニング用スニーカーの多くにこのワッフルソールが採用されています。
ワッフルの名の通り5mm程度の突起で覆い尽くされているのが特徴。この突起部分のおかげで、高いグリップ力と安定感を実現しています。
ランニング用としてはもちろん、街履きにも使えるとにかく万能なソールです。
4 知っておきたいソールの”劣化”のこと
4-1 ソールの劣化に直結する加水分解
スニーカー好きを悩ませるのが、加水分解。
加水分解とは簡単に言ってしまうと、ソールの素材が空気中の湿気や水分と結びついてバラバラになってしまう現象のこと。
徐々にクッション性が失われ、最終的にはソールに大きなヒビが入ってしまうことも。ちなみに先ほどご紹介した「ウレタン」は、とりわけ加水分解を起こしやすい素材の1つです。
加水分解のメカニズムやお手入れ方法については以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてくださいね。
4-2 劣化がひどい場合はリソールも検討する
ソールの劣化があまりにもひどい場合には、靴修理屋さんの提供しているリソールサービスの利用してみると良いでしょう。
リソールとは、要するにソールの部分を新しく張り替えてもらうサービスのこと。
アッパーとソールの接着方法によりますが、例えばニューバランスのようなスニーカーの場合、張り替え可能なケースが多いようです。
お気に入りのスニーカーのソールが壊れてしまった際は、処分する前に一度検討してみてくださいね。
まとめ
今回は快適な履き心地を実現する上で欠かせない、スニーカーの「ソール」にスポットを当ててご紹介いたしました。
アウトソール・ミッドソール・インソールに、素材は天然ゴム・スポンジ・ウレタン…などなど。
ソールというパーツ1つとっても、意外と奥が深いことがお分りいただけたかと思います。本日ご紹介したソールに関する知識を身につければ、スニーカーをもっと楽しむことができるはずです。
今後はお店でスニーカーを選ぶ際、デザインだけでなくソールにも注目してみてくださいね。