意外と知らないスラックスの基本!ディテールや裾上げの知識まで完全解説

スラックスは、カジュアルシーンからビジネスシーンに至るまで幅広く活躍してくれるボトムスです。

特にスーツ勤務の方にとっては、もはや毎日着用して当たり前。

しかしながら、身近過ぎるあまり、そのディテールや「そもそも何を持ってスラックスと呼ばれているのか」といった最も基本的な部分を知らない方も多いはずです。

今回は、私たちにとって身近な「スラックス」について、ディテールから裾上げに至るまで画像付きで基本をわかりやすく解説いたします。

1 そもそも「スラックス」って何?

スラックスパンツ

1-1 センタークリースの入ったフォーマルなボトムス

スラックスとは、一般的にはセンタークリース(中央部分の折り目)の入ったフォーマルなボトムスのことを指します。

本来は、ジャケットを始めとしたスーツとセット着用する際のボトムスを表す単語だったようですが、実際、その定義自体はかなり曖昧。

素材はウールが基本ですが、暑さの厳しい夏になるとコットン地やコットンとポリエステルを混紡したスラックスも登場します。

1-2 語源は「緩い」をいう意味を持つ「Slack」から

スラックスは、英語で「緩い」「ゆったりとした」といった意味を持つ「Slack」が語源であると言われています。

フロント部分につけられた「タック」と呼ばれる襞のようなディテールが、腰回りにゆとり(Slack)を与えるため、「Slacks」と呼ばれるようになったのだとか。

※ただし、スラックスの語源については諸説あります。

ちなみに和名では、「長跨(ちょうこ)」と呼ばれることもあります。

2 スラックスの基本①センタークリース

センタークリースとは、スラックスの中央部分に付けられた折り目のこと。

別名「センタープレス」とも呼ばれるこの折り目は、スラックスの見た目を大きく左右する重要なポイントの1つです。強くハッキリとした折り目は、上品で洗練された印象を醸し出してくれます。

ただし、繰り返し着用していると徐々に折り目が薄くなってしまうものです。

自宅でアイロン掛けをしたり、場合によってはクリーニングに出してクリースを付けてもらうなどメンテナンスも必要になります。

3 スラックスの基本②サイドポケット

サイドポケットとは、その名の通りボトムスの両側についているポケットのことです。

フォーマルなボトムスとして知られるスラックスの場合、その品格を損ねないよう、主にバーティカル・スリットフォワード・セットという2つのスタイルが採用されます。

サイドポケットの種類

  • バーティカル・スリット
  • ホワード・セット

3-1 バーティカル・スリット

バーティカル・スリットとは、両脇にある「シーム(縫い目)」に沿うようにして作られたサイドポケットの1種。

礼服用のスラックスにも採用されるほどフォーマルな仕様として知られています。

縫い目に沿って垂直にポケットを作ることで、シームレスで洗練された印象に。型崩れもしにくいため、メンテナンス性にも優れているポケットです。

3-2 ホワード・セット

ホワード・セットとは、前身頃に付けられた斜めの口が特徴的なサイドポケットです。

ポケットの種類としては、こちらの方が馴染み深いかもしれませんね。

バーティカル・スリットとは異なり、スーツスラックスを始めとしたフォーマルなアイテムだけではなく、デニムなどのカジュアルなボトムスに採用されることもあります。

4 スラックスの基本③ピスポケット

スラックスについているポケットはサイドポケットだけではありません。後ろ側についているポケットは、ピスポケットと呼ばれます。

スラックスに用いられるピスポケットは、主にスリットポケットフラップポケットの2種類です。

ピスポケットの種類

  • スリットポケット
  • フラップポケット

4-1 スリットポケット

最もベーシックなポケットとして知られるのが、このスリットポケット。

サイドポケットの章でご説明したバーティカル・スリットと同じく、切り込みを入れるようにして作られたポケットです。入り口付近にはボタンなどの装飾がつけられることもあります。

動きを邪魔しない上に、シームレスで洗練された雰囲気は正装にふさわしいディテールです。

4-2 フラップポケット

スリットよりも、ややカジュアル寄りなポケットとして知られるのがフラップポケットです。

その名の通り入り口に「蓋(フラップ)」の付いたポケットのことで、多くの場合留め具用のボタンも一緒に付けられています。

スラックスだけでなく、ジャケットやシャツのポケットの仕様としても有名です。

5 スラックスの基本④フロントタック

フロントタックとは、スラックスのフロント部分につけられた「襞(ヒダ)」の部分のこと。腰回りにゆとりを出すためのディテールの1つです。

このタックの中でも、主にワンタックツータックノータックの3種類が一般的です。

フロントタックの種類

  • ワンタック
  • ツータック
  • ノータック

5-1 ワンタック

ワンタックとはその名の通り、1本だけつけられたタックのことです。

スラックスの中では最もメジャーなタック数と言えるでしょう。

腰回りに適度なゆとりが生まれることで、動きやすくなり履き心地もよくなります。ちょっとした体型の変化にも対応してくれるため、忙しいビジネスマンの心強い味方です。

5-2 ツータック

ワンタックにさらに1本追加して2本にしたのがツータックです。

前述したワンタックよりも腰回りのゆとりが増え、動きやすさも増します。

ただしその分だけ野暮ったくなってしまう可能性もあるため、スッキリと合わせたい方はパンツ自体のシルエットを考慮して選ぶと良いでしょう。

5-3 ノータック

ノータックとは、その名の通りタックのついていないボトムスのことです。

タック入りと比べると腰回りのゆとりはやや制限されてしまいます。ただし、襞がついていない分だけスッキリとしたシルエットに仕上がるというメリットも。

どちらかというとカジュアルな印象が強いため、コーディネートを楽しみたい方にオススメです。

6 スラックスの基本⑤シルエット

スラックスにとって、シルエットもとても重要な要素の1つです。

シルエット次第では、スマートで引き締まった印象に見せることも、年季の入った安心感のある雰囲気を出すこともできます。

ボトムスのシルエットは沢山ありますが、中でもレギュラーテーパード(スリムテーパード)パイプド・ステムの3つのタイプが一般的です。

スラックスの主なシルエット

  • レギュラー
  • テーパード(スリムテーパード)
  • パイプド・ステム

6-1 レギュラー

レギュラーシルエットとは、その名の通りスラックスを始めとしたボトムスにおいて最もベーシックなシルエットのこと。

ストレートやレギュラー・ストレートと呼ばれることもあります。

時代ごとのトレンドよって多少変化するものの、基本的には太ももから裾にかけての部分が一直線になっているのが特徴です。

6-2 テーパード(スリムテーパード)

テーパードとは、裾に向かって徐々に細くシェイプされていくシルエットのことです。中でも細身のものに関しては、スリムテーパートと呼ばれることもあります。

スラックスにありがちな野暮ったさは一切なく、キリッとしたスマートな雰囲気があるため、スーツ勤務の若い男性からも人気の高いシルエットです。

肩幅との対比で、足をスラッと細く長く見せる効果も期待できます。

6-3 パイプド・ステム

パイプド・ステムとは、まるでパイプ(煙突)を思わせるような同じ太さで裾に向かって一直線に落ちていくシルエットのことです。

アメリカのアイビーリーガー達が好んで着用していたことでも知られています。

キリッとしたテーパードとは対照的な、どっしりとした重厚感が特徴的です。しかし、最近はテーパードの台頭で、若者からの人気が少し落ちてしまっているようです…。

7 スラックス特有の裾仕上げに関する豆知識

スラックスについて語る上で欠かせないのが、「裾」の仕上げに関するお話。

専門店で裾上げをしてもらう際、お店のスタッフさんから「クッション」や「モーニングカット」と言った専門用語が飛び出すこともよくあります。

スラックスのディテールと併せて覚えておくと、いざという時に便利かもしれません。

7-1 クッション

クッションとは、裾がシューズのアッパーに乗った時にできる「弛み」のことです。

この弛みの度合いに応じて、ノークッションワンクッションツークッションといったいくつかの種類があります。

お店でスタッフさんから「丈の長さはいかがされますか?」と尋ねられた時に、このクッションの名称も併せて伝えられるとスマートです。

クッションの主なパターン

  • ノークッション
  • ワンクッション
  • ツークッション

7-1-1 ノークッション

ノークッションとは、要するにクッション無しのこと。スラックスの裾丈がシューズの上にほとんど乗っていない状態のことを指します。(※少し乗ってる状態は、ハーフクッションとも呼ばれます。)

裾がほとんどもたつかないため、スッキリとした足元を演出できるのが魅力。近年、ビジネスシーン浸透しつつあるタッセルローファーとの相性も抜群です。

ただし、若干カジュアルな印象になるため着用するシーンは考慮した方が良いでしょう。

7-1-2 ワンクッション

ワンクッションとは、スラックスの裾がシューズの上に乗って1回弛むくらいの裾丈のことです。

ビジネスシーンにおいて最も理想的なクッション数と言われています。相手に対して、信頼感や誠実な印象を与えたい場合には特にオススメです。

最近はノンクッション、テーパード型のタイトなスラックスが人気ですが、フォーマルスーツの基本形を忘れないようにしたいですね。

7-1-3 ツークッション

ツークッションとは、スラックスの裾がシューズの上に乗って2回弛むくらいの丈のことです。

こちらはワンクッションよりも更にフォーマルで重厚な雰囲気を演出することができます。ビジネスシーンはもちろんですが、冠婚葬祭などにも最適なクッション数です。

ただし、人によっては野暮ったいという印象を持つ方もいらっしゃるかもしれません。

7-2 裾の折り返し

前述したクッションとセットで理解しておきたいのが、裾上げ時の折り返しです。中でも覚えておきたいのが、シングルダブルモーニングカットの3つ。

裾上げの時に、「シングルで願いします。」といった感じで、スマートに伝えられるようにしておきましょう。

裾上げの種類

  • シングル(プレーンボトムス)
  • ダブル(ターンアップ)
  • モーニングカット(アングルボトム)

7-2-1 シングル

シングルとは、折り返しの無い裾上げのこと。ちなみにシングルは和製英語であるため、欧米では「プレーンボトムス(plain bottoms)」と呼ばれています。

裾にクッションを入れる場合、基本的に裾上げはシングルとなります。

冠婚葬祭からビジネスシーンに至るまで幅広く使える便利な裾仕上げです。

7-2-2 ダブル

ダブルとは、折り返しのある裾上げのことです。こちらも和製英語であるため、欧米では「ターンアップ(turn up)」と呼ばれています。

シングルとは異なり、ダブルを選択した場合の裾丈はノークッションが基本です。

最近の折り返し幅は、3.5〜5cmが主流。裾がもたつかないためビジネスシューズとの相性も良く、足元をスッキリと魅せることができます。

7-2-3 モーニングカット

シングルやダブルの他に、モーニングカットと呼ばれるものあります。

画像のようにスラックスの裾を斜め後ろ下に向かってカットすることで、シルエットを綺麗に魅せる効果も期待できる優れもの。

主に礼服を中心に用いられる裾仕上げ手法の1つとしても知られ、正式名称を「アングルボトム」と言います。

まとめ

今回は身近なボトムスの1つであるスラックスについて、歴史やディテールに関する基本知識を中心にご紹介しました。

スラックスのようにベーシックなワードローブほど意外と奥が深かったりします。

センタークリースやクッション、サイドポケットの種類など知ってそうで意外と知らなかった語句などもきっと沢山あったのではないでしょうか?

スラックスのディテールに関する知識を身につけることで、アイテム選びがちょっとだけ楽しくなるかもしれませんね。