生活に欠かせない「ポリエステル繊維」とは?素材の特徴や洗濯方法をご紹介!をご

化学繊維の中で最も生産・消費されていると言われる「ポリエステル繊維」。衣類の素材表示タグなどで一度は目にしたことがある人がほとんどではないでしょうか?

様々な種類があるポリエステルは私たちの生活にも密接に関わっています。ワイシャツやブラウスなどのアパレル製品はもちろん、帽子やバッグといった小物から広くは毛布やシーツ、カーテンやカーペットまで利用されるシーンも多岐に渡ります。

ただなんとなく名前は知っているけど、その詳細まで知っている人は意外と少ないはず。

そこで本記事では数あるポリエステルの種類の中でも「ポリエステル繊維」にフォーカスを当てます。

今更聞けない特徴からメリット・デメリット、ポリエステル素材の衣服では特に気をつけたい洗濯方法までご紹介していきます。

1 そもそもポリエステルって何?

そもそもポリエステルって何?

「ポリエステル」とは石油や石炭、天然ガスを原料として人工的に作られた合成繊維の1つ。

実は高分子化学物の総称。当記事では主に「ポリエチレンテレフタレート繊維(ポリエステル繊維)」と呼ばれる化学繊維のことを取り上げていきます。

ポリエステルは絵具、人工皮革や合成皮革、タイヤやカーテンなどなど、実は幅広く活用されている素材なんです。

一般的に認知されているポリエステルは、ペットボトルの原料にも活用される「ポリエチレンテレフタラート(PET)」でしょう。

衣料品は紡績した「ポリエステル繊維」が使用されています。

このポリエステル繊維は染色性にも優れており、他素材と組み合わせたり、紡績方法を工夫する事で天然繊維ような風合いを作り出すことができるのも魅力の一つ。

また原価が非常に安価であることも多く、機能性や風合いが優れた商品を低コストで作ることができます。これもポリエステル繊維の魅力の一つと言えるかもしれませんね。

そんな多種多様な製品に使用されているこの優秀なポリエステル素材は、日本での生産量・消費量共にナンバーワンの繊維と言われています。

世界で初めてポリエステルが生産されたのは1949年。イギリスで「テリレン」、少し遅れてアメリカで「ダクロン」と言う名称でそれぞれ工業化されたのが始まりでした。

日本では1958年に、上記の2つの商標名をかけ合わせた「テトロン」という商法名で生産されたのが始まりであると言われています。

2 ポリエステルの代表的な種類

日常の生活で馴染み深い「ポリエステル」。実は結合の仕方によって種類が異なるんです。

衣服に使用されているものや、ペットボトルに使用されているもの以外のポリエステルを一部だけご紹介します。

2-1 ポリエチレンテレフタラート(PET)

最も代表的なポリエステル。

糸状に分子をつなげて繊維を作り、出来上がった繊維を紡ぎ合わせたものが1枚の布として完成します。

特に冬場に見かけるフリース素材に多い種類ですね。

実はペットボトルと同じ構造。だからペットボトルを使ってリサイクル衣類を作ることができるんですね。

2-2 ポリブチレンテレフタラート(PBT)

より強い耐久性とストレッチ性を保有したポリエステル。

スポーツウェアや水着などに使われることが多い傾向にあります。

2-3 ポリエチレンナフタレート(PEN)

より硬いタイプ。

紫外線バリア性、耐加水分解性、熱酸化抵抗などなど、かなり強度が強いポリエステル。

衣類よりも実はフィルムなどの資材によく使われます。

3 ポリエステル繊維の特徴とメリット

ここからはポリエステル繊維にスポットを当てていきましょう。

ポリエステルが広く利用されているのには、他の繊維と比べても優れた特徴がいくつかあるからです。

ポリエステルの特徴とメリットをいくつか紹介していきます。

ポリエステルのメリット

  • 耐久性・強度が高い
  • 吸湿性が低く、速乾性が高い
  • 保存に優れている

3-1 耐久性・強度が高い

ポリエステルは強度がとても高く丈夫で、洗濯しても劣化しにくい繊維と言われています。

伸縮性が高く、形状安定性に優れているためシワになりにくく、型崩れを起こしにくいといった点が特徴的です。

ナイロンなど他の合成繊維と比べても耐熱性が高いため、アイロンがけによるセットも可能でお手入れがしやすい繊維であると言われています。

濡れた時でも強度は変わらず耐衝撃性にも優れているため破けにくいなど、ポリエステルの強度は他の繊維と比べても一線を画すものです。

3-2 吸湿性が低く、速乾性が高い

ポリエステルは速乾性が高い素材です。そのためスポーツウェアなどによく使用されています。

ポリエステルは繊維の中に水分が入り込まないため、水分率がほとんど0。水や汗が生地に触れたときに素早く拡散して蒸発させるという特徴があります。

すなわち「速乾性」は「吸湿性の低さ」の裏返し要するに湿気を吸い込みにくい繊維なので、結果として速乾性が高いというメリットにつながるというわけです。

汗をかいてもすぐ乾いてくれるポリエステルを使用したアイテムなら、サラサラとした肌触りが心地よく、着用時のストレスを大幅に軽減してくれます。

3-3 保存に優れている

衣替え時期にしまっておいた衣服にカビが生えてしまっていたり、虫が喰ってしまった経験はありませんか?

ポリエステルには、虫やカビに強く被害を受けにくいというメリットもあります。

また日光による強度の低下や黄変もしにくい繊維のため、保存に強い繊維と言えるでしょう。

3-4 紫外線をカットしてくれる

ポリエステル繊維には可視光線(かしこうせん)の透過をおさえてくれる性質があります。

簡単に言い換えれば、光を透過しづらく、紫外線を防ぐ能力が高い素材。

このUVカット機能があるため、屋外などを中心としたスポーツシーンでも重宝されているんです。

他にも紫外線の透過率が低い素材としては、ビニロンやウールなども挙げられます。

3-5 色落ちがしにくい

「色落ちがしにくい」ということは、ファッションアイテムには大切なポイントになり得ます。

ポリエステル繊維は綿繊維と比較すると高温の環境、温度にすると約130度以上で染色されます。

染色理論では「染色できる温度=脱色できる温度」とも言われることもあるように、染色したポリエステル繊維を脱色しようとするとかなりの高温な環境が求められてしまいます。

通常の洗濯で色あせしにくい理由は、このような染色時の背景があるため。

また、繊維が毛羽となって抜け落ちてしまうと同時に染料がなくなってしまうこともありません。これも発色の良い色合いを維持しやすい理由の一つですね。

3-6 耐久性が高い

衣服の代表的な素材でもある「綿」。この綿は短繊維を撚って一本の糸に紡績しますが、糸が切れやすかったり毛羽があったりすることも多く、そうなると製品の品質に影響を与えてしまうことも。

一方、ポリエステルは「ポリエチレンテレフタレート」という化学物質を高温で融解し、一本の長い繊維(長繊維)を紡績します。

この工程により一本一本が丈夫で切れにくく、製品になったときの耐久性が向上するんです。

4 ポリエステル繊維にはこんなデメリットも…

ポリエステルは、耐久性や速乾性など機能的に優れている素材であることは間違いありません。しかしながら、以下のようなデメリットも少なからず存在します。

ポリエステルのデメリット

  • 静電気が起きやすい
  • 汚れを吸着しやすい、毛玉ができやすい

4-1 静電気が起きやすい

ポリエステルは静電気を起きやすい素材と言われています。

衣類には静電気を起こしやすい組み合わせと言うものがあり、コーデの組み合わせで静電気対策が可能な場合もあります。

ポリエステル場合、相性が悪い素材はタイツなどに使われているナイロンやアウターで使われているウール素材

逆に綿素材との組み合わせは静電気を起こしにくくしてくれるそうです。静電気対策にはコットンシャツなどをコーデに取り入れてみてはいかがでしょうか。

4-2 汚れを吸着しやすく、毛玉ができやすい

ポリエステルには汚れを吸着する性質があるため、洗濯を繰り返していくと生地が薄汚れていってしまう可能性があります。

また、ポリエステルは洗濯などの摩擦によって毛玉ができやすいというデメリットも

ウールなどの天然素材の場合は毛玉ができても簡単に取れますが、ポリエステルのような合成繊維は繊維の強度が高いため、表面の毛玉が取れにくく、溜まってしまう傾向にあるようです。

洗濯をする時はネットなどを使って、可能な限り生地の摩擦を減らすようにするとよいかもしれません。

4-3 色移りしてしまうことも

色移りがしにくい素材と考えられていますが、長時間水に触れているような状態であれば色移りしてしまうことも。

基本的には吸水性がないのですが、洗濯後などに放置し、長時間水に浸けておくと色移りしてしまうかもしれません。

また、ポリエステル製の衣服は長期間畳んだ状態で収納していると、他の衣服の生地に色移りしてしまう場合も…

長期間保存する場合は、間にタオルをはさむなどの工夫をするのがおすすめです。

5 加工で広がる可能性「異形断面ポリエステル」

プリーツ加工やワッシャー加工をされたポリエステル製品をみたことがありますか?

これはポリエステルの持つ熱可塑性という熱で形がされる性質を利用して、繊維に加工が施されたもの。

このようにポリエステルには繊維を加工することで、機能性を持たせたり、天然素材と同様の風合いを持たせるという「異形断面ポリエステル」と呼ばれる技術が度々使われています。

これらの技術のほとんどは繊維メーカーが独自に開発、特許を得ているものがほとんど。

プリーツ加工やワッシャー加工の他には、ポリエステルの繊維を絹の繊維のような三角形にして、絹に似た光沢を出させた繊維や、綿の繊維のように中空状にして軽さと暖かさを出した繊維、空洞を微細化することで吸水速乾の機能を施された繊維などなど…。

ポリエステルには加工することによって、様々な性質を持つことのできる可能性があります。

6 互いの欠点を補う「ポリエステル混紡」

衣類の素材表示タグにみられる「ポリエステル混紡」の意味をご存知ですか?

「ポリエステル混紡」とはポリエステルと他の繊維を混紡、つまり紡ぎ合わせていくこと。

ポリエステルは他の繊維との混紡や交織、交編に適した繊維であり、長所を活かしながら欠点を補うことができる繊維と言われています。

例えば、ポリエステルと綿を混紡させた場合、ポリエステルの持つシワになりにくさや洗濯後の乾きやすさといった性質に、綿のもつ風合いや吸湿性を加えることができます。

天然繊維と化学繊維を掛け合わせることで、互いのメリットを持った機能的な繊維にすることができるのが「ポリエステル混紡」という技術なのです。

7 ポリエステル繊維と他素材の組みわせ例とその特徴

前述のようなポリエステルと天然繊維を組み合わせた「ポリエステル混紡」の生地は、両素材のメリットを兼ね備えている魅力的な素材。そのため様々なアイテム、シーンで活用されています。

ポリエステルの混紡素材を使った例と特徴をご紹介します。

7-1 ポリエステル×コットン

ポリエステルはシワになりにくいという特徴を持っています。そのため洗濯後もプリーツ・タックなどの折り目がしっかり保たれるのもポイント。アイロンが面倒なスカートやズボン、シャツなどと親和性が高いと言えるでしょう。

防水性にも優れており、バッグの素材としても効果を発揮してくれます。

また、肌触りも柔らかく、適度な光沢感も楽しむことができます。自然素材のナチュラル感と比べると、高級感のある見た目であることもポイント。

コットン100%に比べてとても軽いことも魅力の一つですね。

7-2 ポリエステル×リネン

ポリエステルの耐候性を活かした組み合わせ。

劣化しにくく、ドレープも美しいため、アイテムをより高級感ある印象へと演出してくれます。

丈夫で値段も手頃なコットン混紡生地とは異なる雰囲気に。

湿性に優れたリネンを混紡した素材であるため、ベッドシーツ・枕カバーにも活用されています。

大きなサイズであっても乾燥が早いため、手入れが楽というメリットも。

8 ポリエステル繊維の製品を洗濯するときの注意点

ポリエステルは強度の高い繊維なので、普通に家庭用の洗濯機で洗濯することができます。ただし、ぜひ注意していただきたいのが「逆汚染」と「摩擦」です。

「逆汚染」とは汚れた衣服を洗った時にでる汚れた粒子が、別の衣服を汚してしまい黒ずみなどを発生させてしてしまうこと。

特に汚れを吸着しやすいポリエステルは、汚れた衣服と別々に洗うなどの対策をした方がよいかもしれません。

また、洗濯時は毛玉の原因となる衣服同士の摩擦を軽減するため、洗濯ネットを使って洗った方が無難。静電気対策として、柔軟剤などを使い、生地を傷めてしまう原因となる静電気を未然に防いでおくこともオススメです。

まとめ

今回は、化学繊維の代表「ポリエステル繊維」についてご紹介しました。

ポリエステルは、現在日本で扱われている化学繊維の中では最も生産・消費されている繊維の1つです。

幅広く使われているだけあって、耐久性・速乾性など様々な機能性がありましたね。そしてポリエステル自体を加工したり、天然繊維などとの混紡すれば、その可能性はさらに広がっていきます。

本記事を通して、みなさんの身近にあるポリエステル製のアイテムの素晴らしさを改めて実感するキッカケになれば嬉しく思います。