「オックスフォードのボタン・ダウンシャツ」、皆さんも1枚は持っているのではないでしょうか?
オックスフォードは、現代においてビジネスシーンやカジュアルシーンなど、様々な場面で見かけることの多い、一般的で定番の生地として親しまれています。
しかし、そもそもオックスフォードとは何か、そしてオックスフォード=ボタン・ダウンシャツとなった理由は何か、ご存知の方は少ないのではないでしょうか?
今回はそんなオックスフォードに関する歴史や魅力についてご紹介します。
1 オックスフォードとは?
1-1 オックスフォードは平織りの1種
「オックス」とも呼ばれ、ボタン・ダウンシャツで知られるオックスフォード。正式名称は「オックスフォード・シャーティング」と呼ばれます。
オックスフォードは「ななこ織り」と呼ばれる平織りの変化組織の1種です。
「ななこ織り」とは、通常たてよこ1本ずつを交差させて織るところ、たてよこ共に2本以上の糸を引き揃えて、1本の糸のように扱う織り方のこと。この方法により、まるで太い糸を使用したかのような効果が得られます。
通常たてに色糸、よこに白糸を用いたいわゆるシャンブレー・カラーが一般的で、白無地や色無地の他にもストライプ柄のものなど様々なタイプがボタン・ダウンシャツでおなじみかと思います。
1-2 オックスフォードは糸の太さで4つの種類に分かれる
1-2-1 オックスフォード
通常のオックスフォードはおおよそ20〜40番手という太めの糸を組み合わせて織られます。
定番的なものだと、たて糸に40番手双糸、よこに20番手単糸が使われます。
1-2-2 ヘビーオックス
おおよそ10〜40番手と通常のオックスフォードよりも太い糸を用いて織られます。
そうすることでより厚く硬い生地に仕上がりますが、糸の質や織りの密度によっては通常のオックスフォードと変わらないこともあります。
1-2-3 ピンポイントオックス
おおよそ80〜100番手の細めの糸を使用して織られるタイプ。ピンポイントオックスは、通常のオックスフォードよりも光沢感が増し、生地も多少柔らかくなる特徴があります。カジュアルよりかは、フォーマルな印象を与えるため、ビジネスシーンにも活躍。
1-2-4 ロイヤルオックス
およそ100〜140番手と、オックスフォードの種類の中では一番細い糸を用いるタイプのオックスです。「ロイヤル」と名前がつくように、光沢感がさらに増し、薄くてさらりと滑らかな肌触りとなります。
ビジネスシャツの定番である「ブロード」に近い生地感なので、ピンポイントオックス同様、ビジネスシーンなどフォーマルに使用されることが多くあります。
1-3 服地以外のオックスフォード
シャツで知られるオックスフォードの布地以外にも、「オックスフォード」の名称を持つものがあることをご存知でしょうか?
それは「フランネル」という布地。オックスフォード大学のテニスウェアとして使用された、グレーの霜降りの「フランネル」も「オックスフォード」と呼ばれます。
さらには、黒ずんだ灰色のカラーの名前を「オックスフォード」ともいい、由来はオックスフォード大学のスクール・カラーからきていると言われています。
2 オックスフォードの歴史と発展
2-1 名前の由来は「オックスフォード大学」
名前の由来である「オックスフォード」は、名の通りイギリスの名門大学である「オックスフォード大学(University of Oxford)」からきています。オックスフォード大学は、英語圏では最古の大学であり、世界でもトップレベルの由緒正しき名門大学。
そんなオックスフォード大学の学生に好まれる生地を作ろうと、有名な生地ブランドのトーマス・メイソンが最初に作ったのが始まりとされています。
当時はオックスフォードの生地だけでなく、ケンブリッジ、エール、ハーバードなどの名門大学の名前をあしらった生地も作られていました。しかし結局「オックスフォード」と呼ばれる生地のみが生き残り、現在でも頻繁に着用されています。
2-2 オックスフォードがボタン・ダウンシャツの代名詞に
現代でもボタン・ダウンシャツといえばオックスフォードの生地をイメージする方が多くいらっしゃると思います。
ボタン・ダウンシャツは、そもそもアメリカ・ニューヨークのブルックスブラザーズの創業者の孫であるジョン・ブルックスが、イギリスのポロ競技の選手が着用していたシャツからヒントを得て商品化したのが始まりです。
ボタン・ダウンシャツは襟にボタンが付いているため、顔に襟がつかなかったりめくれる心配がありません。そしてオックスフォードの生地は、競技で着用できるほど丈夫で、通気性も良い。
ジョン・ブルックスは、オックスフォードのボタン・ダウンシャツを商品化し、その人気は一気に広がりました。
特にアイビー・リーグと呼ばれるアメリカのエリート学生達に圧倒的に支持され、彼らのファッションスタイルである「アイビールック」のアイデンティティとして全米中に広がったそう。
そうしてオックスフォードのボタンダウンシャツは、現在まで世界中で愛されているのです。
3 オックスフォードの魅力
3-1 カジュアルになりすぎない品の良い光沢感
オックスフォードの生地の見た目は、粗い組織で織目がはっきりと見えるのが特徴。
通常のオックスフォードは表面の凸凹感が、どこなくマットでやや掠れた風合いに見えるカジュアルな印象です。しかし前にもあげた通り「ピンポイントオックス」などの番手の大きいものは、フォーマル感漂う、しなやかな品の良い光沢感が持ち味です。
「オックスフォード」と一括りにしても、種類によって様々な顔を見せてくれるのがオックスフォードの魅力と言えるでしょう。
3-2 しなやかな肌触りと優れた通気性
そしてオックスフォード生地の最大の魅力は、ポロ競技のようなスポーツシーンでも使用されていたほどの丈夫さと通気性。
オックスフォードの生地は通常の平織りシャツよりも隙間が多いため、通気性がよく、着心地も軽く柔らかいのも特に春夏やカジュアルシーンも活躍してくれるのです。
さらに生地が厚手でハリ感もあることから、シワになりにくいという利点も。
しかも多少シワができても、逆に味が出てカジュアルな雰囲気で着れてしまうので助かりますね。
そんな万能なオックスフォードが世界から愛される理由がわかります。
4 オックスフォードのお手入れ方法とは
4-1 まずは洗濯表示を必ずチェック
オックスフォードの素材は丈夫な点が特徴ですが、かといっていつも通り他の衣類と洗濯機をまわせばいいわけではありません。
まずはしっかりと洗濯表示を確認するように心がけてください。
もし洗濯機で洗える場合には、シャツの場合は裏返しにしてネットに入れて洗いましょう。
洗濯機が不可である場合や縮みなどが不安な場合は、ドライクリーニングに出すことをおすすめします。
4-2 アイロンがけはTPOに合わせて
オックスフォード素材は洗いざらしで着ることができるのが特徴です。
ジーンズに合わせたり、休日スタイルなどはアイロンがけはせず、洗いざらしできることでラフでカジュアルな印象を与えます。
一方オフィスなどでのいわゆるビジネスカジュアルスタイル(ビジカジ)では、アイロンをかけてあげるとシワもなくハリのある仕上がりに。
オックスフォード素材は、1枚でも様々な表情が作れますので、TPOに合わせて仕上げることをおすすめします。
まとめ
ビジネスにもカジュアルにも自由な着こなしが楽しめる万能なオックスフォード。
いかに全世界で、昔から愛されているかがお分りいただけたかと思います。
ぜひ様々な種類で、様々な表情を見せるオックスフォードを着て、ラフな休日、オフィスワークを楽しんでみてください。