羊毛の王様「メリノウール」とはどんな素材?特徴やお手入れ方法について

ニットウェアの素材として近年注目を集めているのが「メリノウール」。

羊の中でもメリノ種から採れる高品質なメリノウールは、保温性はもちろん吸汗吸湿性にも優れているのが特徴。冬だけでなくオールシーズン着用可能な素材なのです。

最近では、ユニクロをはじめとした大手ファッションブランドからもメリノウールを使ったニットウェアが発売されるようになりました。

人気が高まる一方で、デリケートな「メリノウール」という素材のことを十分に理解している方は多くはないはず。

本記事では、メリノウールの特徴やメリット・デメリットを中心に、自宅でも簡単にできるお手入れ&保管方法に至るまで徹底解説いたします。

1 メリノウールとは?

メリノ種の羊

メリノウールとは、「メリノ種」から採れる高品質な羊毛のこと。

主な産地は、オーストラリア、ニュージーランド、フランスの3ヶ国。中でもオーストラリア産は、流通するメリノウールの40%を占めるほど。

独特の光沢感と細く均一な繊維質が特徴で、数あるウールの中でも最高ランクに位置付けられています。

ニットウェアとして仕立てれば、独特のトロみと頬ずりしたくなるような極上の肌さわりの虜に。その上、保温性と吸汗吸湿性に優れているため、オールシーズン着用可能です。

2 産地によって変わるメリノウール

メリノウールの主な産地は、オーストラリア、フランス、ニュージーランドの計3ヶ国。産地が違えば、毛の質感や色合いも変わります。

2-1 オーストラリア産メリノウール

流通するメリノウールの40%を占めるのが、オーストラリア産メリノウール。

毛の色が白く、非常に丈夫でしなやかな繊維質が特徴。世界で最も優れた品種の羊とも言われ、ニットウェアとして仕立てるならオーストラリア産以上に適した品種はないと言えるでしょう。

またオーストラリア産メリノウールは、繊維自体の太さによって以下の3つに分類されています。

3種類のオーストラリア産メリノウール

  • ファインメリノ : 太さ18~19マイクロメートル、繊維長は70~75mmのメリノウール
  • ミドルメリノ : 太さ20~22マイクロメートル、繊維長は90mm前後のメリノウール
  • ストロングメリノ : 太さは23~25マイクロメートル、平均繊維長は100mm前後のメリノウール

2-2 フランス産メリノウール

フランス産メリノウールは、バルキー性が高くふっくらとした質感が特徴。ニットウェアよりもダウンや布団の中綿として使われる機会が多い品種です。

中でもフランス北西部で飼育されている「ラムブイエ・メリノ」は、幻のウールと称されるほど。

しかし近年はフランス産メリノの頭数自体が減少しているため、希少性が高まっています。

2-3 ニュージーランド産メリノウール

オーストラリア産に次いで高い品質を誇るのが、ニュージーランド産のメリノウールです。

異物混入率がとても低く、極めてピュアな羊毛の1つ。柔らかくしなやかな繊維は、メリノ種の中でも群を抜いています。

ただしメリノウール全体で見ると、流通量は1%前後。希少性も高めです。

3 メリノウールの品質ランク

メリノウールには高い品質基準をクリアしたことを示す品質保証マークがあります。

これを「ウールマーク」と呼び、品質基準で厳正に審査されたメリノウールがどれくらい使用されているかによって名称が変化します。

3つのウールマーク

  1. ピュアメリノウール : メリノウールを100%使用した製品
  2. メリノエクストラファイン : 繊維の細さが19.5マイクロメートル以下のメリノウールを100%使用した製品
  3. メリノウルトラファイン : 繊維の細さが17.5マイクロメートル以下のメリノウールを100%使用した製品

いずれもメリノウールを100%使用していることが大前提。そこからさらに、繊維の細さによってランクを決定しています。

繊維が細ければ細いほど、繊細で優しい肌さわりのニットに仕上がるからです。

4 メリノウールの特徴

メリノウールの特徴

4-1 優しい肌触りで着心地が良い

メリノウールと他のウールとの決定的な違いは何と言っても、その滑らかな肌触り。

シルクにも似た独特のトロみとヌメリ感を持っています。

袖を通せばわかる、肌を優しく包み込むような極上の着心地が魅力です。

また、メリノウールは繊維が細く均等に揃っています。そのため一般的なウール製品にありがちな「チクチクする不快感」がほとんど無いのも特徴の1つと言えるでしょう。

4-2 温度調節機能に優れ、オールシーズン着用できる

「冬の素材」というイメージが強いウール。しかし、メリノウールは温度調節機能に優れているため、秋冬だけでなくオールシーズン着用可能。

秘密はメリノウール繊維の表面上にある「スケール」と呼ばれる細かい鱗片、そして「クリンプ」と呼ばれる縮れの部分の2つ。

夏場はスケールが不快な汗を吸って外に逃がすことで、衣服内を快適な状態に。

一方で冬場はスケールが湿度を吸着して熱を発生させつつ、クリンプが空気の層を作って断熱材の役割を果たすことで保温性を高めます。

夏涼しく冬暖かい。使い勝手抜群の万能なウールなのです。

5 メリノウールを取り扱う上での注意点

メリノウールを取り扱う上での注意点

ウールの中でもデリケートなメリノウール。洗い方や保管方法を間違えると、せっかくの優しい肌さわりと上品な質感が台無しになってしまうことも。

正しいお手入れ方法を覚えて、メリノウールのアイテムを長持ちさせましょう。

5-1 洗濯時は原則「手洗い」で

メリノウールを使用しているアイテムを洗濯する際には、「手洗い」が基本。余計な圧力や摩擦を加えず、自分の力加減で優しく洗い上げることができるからです。

用意するものは、アイテムが十分に浸かるサイズの洗面器、ウール用洗剤、洗濯ネットの3点。

以下の手順を参考に、自宅で手洗いをしてみましょう。

メリノウールの手洗い方法

  1. 洗面器に30度以下の水を張り、ウール用洗剤を溶かす
  2. 裏返しにして綺麗に畳んだニットを洗面器の中に入れる
  3. 洗面器の中で擦らずにゆっくり押すようにして洗う(押し洗い)
  4. 水を入れ替えて洗剤をしっかりとすすいでいく
  5. ニットをもう一度綺麗にたたみ直した後にネットに入れて洗濯機で30秒脱水する

ポイントは「30度以下の水」を使うこと。メリノウールは熱に弱いため、お湯で洗うとあっという間に縮んでしまいます。

また脱水時も、必ず洗濯ネットを使って単品で脱水をかけるようにしましょう。

5-2 洗濯機を使う場合はネットに入れて「弱水流」

メリノウールは原則として手洗いが基本です。ただし、洗濯表示タグに「洗濯機洗いマーク」が記載されている場合は、ご家庭の洗濯機で洗っても問題ありません。

ただし、せっかくのメリノウールを傷つけないためにも、以下の手順を参考に洗濯をしましょう。

用意するものは、ウール用洗剤と洗濯ネットの2点です。

メリノウールの洗濯方法

  1. ニットを裏返しにして綺麗に畳んだら、洗濯ネットに入れる
  2. ウール用洗剤を入れて、弱水流もしくは手洗いコースに設定する

洗濯機洗いは手洗いよりも生地への負担が大きくなりますが、大幅に手間を省くことができます。洗濯ネットと弱水流設定だけ忘れないようにしましょう。

5-3 乾かすときは平干しが基本

メリノウールだけでなく、ニットウェアを干すときには「平干し」が基本です。

水を含んだニット自身の重みで繊維が伸びきってしまうのを防ぐ意味があります。

風通しの良い場所にタオルを敷き、その上にニットを置いて自然乾燥させましょう。もし可能であれば、平干し用ハンガーを使うのがオススメです。

5-4 「アイロン掛け」で虫食い予防を

メリノウールを虫食いから守るためにも、保管の際にはアイロン掛けを済ませておくことをオススメします。

天然の動物繊維であるメリノウールには、たんぱく質が多く含まれているため害虫たちの餌になってしまう可能性もあるからです。

アイロンをかけることで、熱に弱い成虫や幼虫を死滅させることができます。

生地にダメージを与えないよう、中温(130-160℃)に設定したら、スチームを優しく当てるだけ。あとは軽くシワを伸ばせば完了です。

まとめ

メリノ種の羊から採れる高品質なメリノウールについて詳しくご紹介しました。

保温性」と「吸汗吸湿性」に優れたメリノウールは、秋冬はだけでなくちょっと汗ばむ夏場にも着用することができる非常に便利な素材です。

肌さわりもよく着心地抜群。ウール独特のチクチク感もほとんどありません。

ただし、デリケートな素材ゆえに洗濯やお手入れ時は多少の注意も必要です。

メリノウールの製品をすでにお持ちの方も、これから買おうと思っている方も、本記事でご紹介した基本知識をぜひ参考にしてくださいね。