みなさんはホースハイドと呼ばれるレザーをご存知でしょうか?ホースハイドとは成馬から採れる馬革のこと。
ホースハイドは希少性が高く、一般的な牛革と比べると流通量もかなり少なめ。
一方で、ホースハイドは牛革とは異なる独特の経年変化(エイジング)を楽しむことができるという理由から、実はマニアの間でもファンの多いレザーとして知られています。
本記事では馬革の1つとして知られるホースハイドの特徴や魅力、ケアの方法に至るまで詳しくご紹介します。
1 ホースハイドとは
ハイドとは大きな動物のことを表す言葉で、大人の馬から取れるレザーはホースハイドと呼ばれています。
大人の馬の革は入手しずらく、希少性が高い素材です。
柔軟性が高く大判で加工が容易な為、衣料品だけではなくソファーをはじめとした家具などにも使われています。数あるレザーの中でも汎用性の高さが特徴的と言えるでしょう。
2 ホースハイドの特徴
2-1 柔軟性に優れている
ホースハイドは、コードバンなどの硬い部位のレザーと比べ強度自体はさほど高くはありません。
一方で、柔軟性の面では非常に優れていると言われています。
加工がしやすく大判である事から汎用性が高く、バッグやソファーなどといったレザーの面積が広く必要となる製品にも使われています。
2-2 豊かな経年変化を楽しめる
「経年変化を楽しむことができる馬革の代表格はコードバンである」と言われることが多いですが、ホースハイドも負けていません。
独特の滑らかな風合いや、始めから傷がある理由からホースハイドはエイジングに向いたレザーと言われているのです。
例えば、ホースハイドを使用したジャケットなどの衣料品は定期的にメンテナンスをしながら長期的に着用することで、着用者の体に自然と馴染んでいきます。
長い期間をかけてエイジングしたジャケットなどは、市販に流通している製品とは一味違う所有者によって違った表情を楽しめることでしょう。
大切に育てれば愛着の持てる至高の一着となるのではないでしょうか。
2-3 希少価値が高い
ホースハイドは30年代頃の衣料品に多く使用されていました。
しかしながら時代の変化もあり、現在では大人の馬の革は採取するまでの時間がかかる等の理由から入手しずらい環境となっています。
加えてレザーの特性もあり、始めから傷が多い理由から綺麗な状態のホースハイドの希少価値は高く、高値で取引されています。
3 牛革とホースハイドの比較
メジャーな牛革(カウレザー)と比べるとホースハイドにはいくつかの違いがあります。
もちろん部位や加工方法にもよりますが、一般的に繊維の密度や強度ではカウレザーに軍配が上がります。
一方でホースハイドは強度ではカウレザーにこそ劣るものの、柔軟性に優れている上に、牛革とは一味違った経年変化を楽しむことができるというメリットも。
またホースハイドは皮自体が大判であるとの理由から、衣類はもちろんソファーを始めとしたインテリア製品にも多く利用されるという点も特徴的です。
どちらが良い悪いではなく、好みの質感や用途に応じて選ぶのがベストと言えるでしょう。
4 ホースハイドのお手入れ方法
ホースハイドは牛革と比べ密度が低くデリケートなレザーと言われています。
メンテナンスをせずに使っているとヒビ割れを起こしてしまうことも。良い質感を維持するためにもこまめな手入れがとても重要です。
用意するものは、馬毛ブラシ、豚毛ブラシ、レザー用クリーナー、乳化クリーム、ワックスクリーム、そして乾いた布の6点。以下の手順に従って、定期的なメンテナンスを心がけましょう。
定期的にメンテナンスを行うことでホースハイドの質感を損ねることなく、美しい経年変化を楽しむ事が出来るはずです。
ホースハイドのお手入れ手順
- 馬毛ブラシを使って製品全体の埃や汚れを落としておく。(必要があればレザークリーナーも用いる)
- レザーに栄養を与える乳化クリームを乾いた布につけて、製品全体に薄く伸ばしていく
- 豚毛ブラシを使って全体を優しくブラッシングしていく
- ブラッシング後は、風通しの良い場所で一日ほど自然乾燥させる
- 乾いた布を使って、艶出し用のワックスクリームを全体に薄く伸ばすようにして塗り込んでいく
- 最後に豚毛ブラシで丁寧にブラッシングしたら完成
まとめ
今回は大人の馬から採取されるホースハイドについてご紹介しました。
ホースハイドは独特の質感、柔軟性がある事から大判でバッグやソファーなどの家具にも使われるなど汎用性の高いレザーです。
一方で、カウレザーと比べ強度に劣る点や、レザーの特性上始めから傷がついている場合があるなどの欠点もあります。
こまめなメンテナンスを心掛け、ホースハイド独特の美しい経年変化を楽しみましょう。