みなさんは形態安定シャツとは何かご存知ですか?
普段からスーツを着る方は、持っていなくても一度は耳にした事があると思います。
普通のワイシャツの場合、シワなくカッコ良く着るのにはアイロン掛けが必須です。でも、毎日の様にアイロンをかけるのは、手間がかかるし非常に面倒…。
そんなアイロン掛けを時短できるのが形態安定シャツなのです。
そこで本記事では、これからスーツが必要になる方、普段ワイシャツを着ている方に形態安定シャツの仕組み・洗濯方法・注意点を詳しくご紹介します。
1 形態安定シャツとは?
形態安定シャツとは、洗濯後のシワがつきにくい様に特殊加工が施されているワイシャツのことです。
洗濯した後は、軽く形を整えて自然乾燥させるだけで基本的にはアイロン掛けは不要でそのまま着用できます。
もちろん細かいシワが残ってしまうこともあるため、簡単なアイロン掛けが必要になる場合もありますが、通常のワイシャツと比べるとその負担も大きく減るはずです。
形態安定シャツの他にもノーアイロンシャツ、形態安定加工シャツとも呼ばれています。他にも形状記憶シャツと言う物も存在しますが、これは東洋紡の登録商標です。
2 シワを防ぐ二つの加工方法
形態安定シャツは主に薬品処理や熱処理、樹脂加工などを用いて特殊な加工を施されています。その特殊加工方法のうち、代表的な二種類をご紹介します。
2-1 VP加工
VP加工とは、Vapor phase加工のことで、アメリカ テキスタイル プロセシング社が始めた加工技術です。
縫製した後、シャツの繊維内にホルマリンガスを浸透させて形態を安定させる加工が施されます。日本国内では東洋紡などがライセンス契約をして多く広まった加工方法です。
2-2 SSP加工
SSP加工は、Super soft Peachphase加工のことで、日清紡が開発した加工技術です。
この加工方法は縫製後に加工するVP加工とは異なり、まずは生地の状態のまま、液体アンモニアと樹脂を使って加工をします。その後、加工された生地を縫製し、高温で熱処理を施すことで形態を安定させる方法です。
3 綿の割合と形態安定の関係性
形態安定シャツの中には、洗濯後にどれだけシワが残るかのW&W性(ウォッシュ&ウェア性)と言う形態安定性の表記がされた製品も存在します。
W&W性は、5等級で評価され、最高等級を5級のアイロン掛け後の状態とし、3.2級(シワカット率50%程度)以上が形態安定シャツの基準です。
形態安定性は通常、シャツに使用されている綿の割合が高い程低くなる言われています。形態安定シャツが登場した当時は綿とポリエステルの割合が5:5の商品しかなく、柔らかさや吸水性、耐久性などが勝る点から綿100%の製品を選択する方も多かったのだそう。
しかしながら現在では、加工技術の発展により、綿100%、もしくはそれに近い割合の形態安定シャツも見かけるようになりました。
4 効果を長持ちさせるには
普通のシャツと比べると少々高い価格の形態安定シャツ。そんな形態安定シャツの効果を少しでも長く維持したいと思う方は多いはず。そこで、形態安定効果を持続させるためのポイントを2項目に分けてご紹介します。
4-1 洗濯方法
効果を持続させるためにはまず、シャツを洗濯する際のダメージには気を使わなければなりません。
洗濯機に入れる際はシャツは裏返し、洗濯用ネットに入れて、擦れが原因で起こるダメージを最小限に抑えましょう。シャツのボタンを止め、ネットの大きさに合わせて畳んでから入れるとさらに効果的です。
脱水は極力短く、水滴が少し落ちてくるくらいがベスト。
ワイシャツで特に気になりやすい襟や、袖口の汚れが目立つようでしたら洗濯前の部分洗いをおすすめします。
また、形態安定シャツは熱には弱いという特性も持っています。もしクリーニング店に出す場合には、アイロンでの仕上げや、タンブラー乾燥などの高温処理をしない様、一言伝えた方が良いでしょう。
4-2 干し方
形態安定シャツの洗濯が終わったら、乾燥機は使用せずにそのままハンガーに掛けて自然乾燥させましょう。
乾燥機を使用して乾燥させると、熱による変形や、形態安定の機能が損なわれてしまう原因になります。
また、ハンガーに掛ける際は、水分をある程度含んだ状態で風通しの良い場所に干してください。手である程度形を整えてからハンガーに干すのも綺麗にシワを伸ばすポイント。シャツにある水分の重さを利用して、効果的にシワを伸ばせます。
また、アイロン掛けが必要な場合は、できる限り低温で必要最低限の範囲に留めましょう。
まとめ
今回は形態安定シャツについてご紹介しました。
毎日ワイシャツを着る人には日々のアイロン掛けは面倒です。そんな手間を大幅に減らしてくれるのが形態安定シャツ。
しかし、熱には弱いので適切な方法で洗濯・乾燥をすることがとても重要です。
正しくお手入れをして、便利な形態安定機能を長持ちさせましょう。