最高の「色落ち」のために知るべきデニム生地とエイジングの基本

インディゴデニムを履く上での醍醐味、それはもちろん「色落ち(エイジング)」です。

購入当初は濃い藍色だったのに、気がつくと褪せた淡いブルーへと変わっている。この「育てる」楽しみこそが、ジーニスト達を惹きつけてきた最大の魅力であることは間違いありません。

しかしながら皆さんは、デニムを形作る繊維、生地、そして色落ちの仕組みのこと…どこまで知っていますか?

今回は、そんなデニムについてもっと知ってもらうべく、色落ちのメカニズムや格好良い色落ちを作るためのコツに至るまでまとめました。

初心者ジーニストの方にも理解していただけるよう、分かりやすく解説していきます。

1 デニムの色落ち(エイジング)のメカニズム

デニムの色落ちが起こるメカニズム

そもそもデニムの色落ちはどのようにして起こっているのでしょうか?

まずはデニム生地の糸や織り方を確認しつつ、色落ちのメカニズムについて詳しくみていきましょう。

1-1 デニム生地を構成するのは縦糸と横糸

デニム生地は、縦糸と横糸を綾織りすることで出来上がります。

綾織りとは斜めに向かって織模様を入れる織り方のことで、かつては質の高い絹を作る際に用いられていました。

基本的にインディゴ(染料)で染めてあるのは縦糸のみで、横糸は糸本来の白色のままです。デニムを裏返すと白っぽい生地が出てきますが、あれが糸で言うところの横糸に当たります。

言い換えれば、デニムの色落ちはインディゴに染め上げられた「縦糸」のみによって生まれていたわけです。

1-2 色落ちを生み出すのは縦糸の「芯白」

色落ちを生み出す上で最も重要なのは、縦糸の中心にある「芯白(シンシロ)」と呼ばれる部分です。

実は、縦糸を染める際に使う「インディゴ染料」は浸透力が弱く、糸の中心部まで染め上げることはできません。つまり一見すると藍色の縦糸も、その芯は糸本来の白色のままということです。

デニムを着用しているうちに摩擦などによってこの縦糸表面が削れ、次第に中心部の「芯白」が見えてきます。

要するにデニムにおける色落ちとは、ダメージによって「芯白」が見えるようになった状態のことなのです。

2 デニムの色落ちに影響を与える「糊」

デニム表面にコーティングされた糊

デニムの色落ちに影響を与える要素の1つは、ズバリ「糊」です。

デニム生地は、織っていく段階で生地自体に「糊」を付けて固めます。こうすることで縦糸を真っ直ぐに張ることができ、作業効率が良くなると言われているのです。

この「糊」の有無は、デニムの色落ち感を大きく左右するポイントになってきます。

2-1 糊付き状態の「リジットデニム」

生地に付いた糊を落としていないタイプのデニムは、「リジットデニム(通称 : 生デニム)」と呼ばれます。

糊を一切落としていないため、生地はゴワゴワと硬くかなり履きづらい状態です。

しかし、糊を一切落としていないからこそ、デニムを1から自分で育てることができるというメリットもあります。これを面倒と感じるか、育て甲斐があると感じるかは好みの問題になってくるでしょう。

次にご紹介する「ウォッシュドデニム」よりも、ハッキリとした色落ちを楽しむことができるという点が大きなメリットです。

2-2 糊を落とした状態の「ウォッシュドデニム」

生地についた糊を「水洗い加工」にかけて落としたデニムは、「ウォッシュドデニム」と呼ばれます。

もちろん、水洗いにかけていると言っても、1回(ワンウォッシュ)ならばインディゴ染料まで落ちしてしまうことはありませんのでそこはご安心ください。

ただし一度洗いにかけているだけあって、リジットデニムほどの強くハッキリとした色落ちにはならないというデメリットもあります。

普段あまりデニムを履かない方は、いきなりリジットを試すよりもまず最初はウォッシュドデニムからスタートしてみると良いかもしれません。

3 「デニムは洗わずに履く」はもう時代遅れ?

「デニムを洗わずに我慢して履くのは時代遅れ」なんて言われることもありますが、必ずしもそうとも言えないようです。

とりわけリジットデニムの場合は、根性履きとも呼ばれるように、しばらく洗わずに履き込むことで強くハッキリとした色落ちを楽しむことができます。

これは、糊のついたバキバキ状態で履き込むことで生地にできる皺にテンションがかかることが要因のようです。

逆に一度洗いにかけたあとは、リジットの状態の時と比べると強くハッキリとした色落ちにはなりません。

これは言い換えれば、「洗わない期間 = 自分色に加工する期間」と言えるでしょう。買ってしばらくは洗わずにガシガシ履き込み、色落ちさせまくることができるわけですね!

逆にウォッシュドデニムの場合、洗わずに履くという行為自体にあまり意味はありません。

「デニムは洗わずに履く」というのは、あくまでリジットデニムを購入した方にのみに当てはまる話と考えた方が良いでしょう。

4 デニムの部位ごとに変わる色落ちの名称

デニムは、部位によって色落ちの名称が変わることをご存知でしたか?

よくデニム好きの方が「アタリが出る」なんて表現を使うこともありますが、これも色落ち用語の1つです。以下、デニム好きなら絶対に知っておきたい色落ち用語をいくつかまとめてみました。

4-1 アタリ

アタリ

アタリとは、レッグ外側の縫い目である「アウトシーム」に沿って縦方向にできる色落ちのことです。色落ち用語の中では一番有名かもしれませんね。

もし綺麗な縦方向のアタリをつけたい場合、裏側にある生地余りなどをしっかりと伸ばしておくようにしましょう。

生地がめくれ上がっていたりすると、その捲れに沿って横や斜め方向に色落ちしてしまう可能性があるからです。

4-2 ヒゲ

ヒゲ

ヒゲとは、デニムの股周辺にかけて横方向にできる色落ちのことです。

「ヒゲ」と呼ばれるようになったのは、放射状にできる色落ちがまるで猫のヒゲのようだからという理由なのだそう。

デニムを穿いたまま腰掛けたりしゃがんだりすると、股の部分の生地がクシャッと蛇腹状になりますよね。これがヒゲを作る最も大きな要因の1つです。

ちなみに太ももから膝にかけてできるヒゲは、「下りヒゲ」と呼ばれうこともありますのでこちらも併せて覚えておきたいところです。

4-3 ハチノス

ハチノス

ハチノスとは、膝の裏側にできる網目状の色落ちのことです。

その見た目が蜂の巣に似ていることから、「ハチノス」という名称がつけられたのだとか。

先ほどご紹介した「ヒゲ」と同じように、椅子に腰掛けたりしゃがんだりした時に起こる生地の擦れが、このハチノスを生み出しています。

後ろから眺めた時のデニムの見栄えに大きく影響する色落ちの1つです。

5 格好良い色落ちを実現するためのポイント

格好よい色落ちを実現するために

ここまで、色落ちの知識について一通り確認してきました。

では自分のお気に入りのデニムを格好良くエイジングさせるには、一体どのような点に気をつければ良いのでしょうか?

5-1 リジットデニムは初洗いまでが加工期間

先ほども少し触れたとおり、リジットデニムは初洗い(ファーストウォッシュ)までを加工期間として考えると良いでしょう。

糊がついた状態のデニム生地はゴワゴワと硬い分、生地にテンションがかかりやすいため、ヒゲやアタリが濃く強く出る傾向にあると言われています。

初洗いまでにしっかりと履き込めば、格好良い色落ちを楽しむことができるはずです。

逆に「もうこれくらいアタリがつけば十分かな…」と感じる程度まで色落ちしたら、そのタイミングでファーストウォッシュをかけると良いかもしれません。

5-2 もったいぶらずとにかくガシガシ履き込む

ある程度値段の張るデニムを購入した場合、なんだか履くのがもったい無く感じてしまう気持ちもよくわかります。

しかし、これではいつまで経ってもデニムの醍醐味であるエイジングを楽しむことができません。デニムのことをが本当に好きならば、むしろ毎日ガシガシ履き込んであげましょう。

着用頻度にもよりますが、ヒゲやアタリが付くまでには意外と時間がかかります。

履いたら履いた分だけ徐々にヒゲやアタリが濃くなっていきますので、ぜひもったいぶらずにどんどん履き倒していきましょう。

5-3 洗わなすぎはご法度!適度に洗濯する

デニムのことを考えるのであれば適度に洗濯した方が無難です。

リジットデニムの場合は半年〜1年程度は洗わずに履いて色落ちさせても良いですが、それでも数年間洗わずに履き続けるのはオススメしません。

生地自体が汗や皮脂で黄ばんでしまうだけでなく、嫌な臭いを発し始めることもあります…。これでは最早オシャレとかではなく、単なる不衛生の領域に。

また汚れが蓄積されていくことで生地自体が傷んでしまい、破れやすくなるとも言われています。

洗濯のペースは持ち主の着用頻度によっても変わるため一概には言えませんが、週に3回位履く方の場合、最低でも2ヶ月に1回は洗濯をした方が良いでしょう。

5-4 たたまずにフックにかけておく

デニムはできるだけ畳まずにフックにかけて吊るしておくことをおすすめいたします。

これは、デニムをたたんだ時にできる折り目の部分が擦れて色落ちするのを防ぐためです。また、シワを伸ばさずに着用することによって不自然なアタリが出てしまう可能性もあります。

デニム好きならできるだけ自分の足で履き込んで色落ちさせたいもの。たたみシワがそのまま色落ちになってしまうのはちょっと悲しいですよね…。

収納時には、S字フックをベルトループに引っ掛けてクローゼットの中で吊るしておくのがベストです。

6 “良い色落ち”と”ダメな色落ち”はあるのか?

デニムの色落ちに良し悪しはあるのでしょうか?

これについては様々な考え方がありそうですが、あえて言及するのであれば「特にない」というのが当メディアの答えになります。

そもそも、デニムは元を辿ればアメリカの炭坑で働く労働者たちのワークウェアとして生まれたもの。砂埃にまみれてあくせく働く彼らに、色落ちの良し悪しなんて考える余裕など恐らくありませんでした。

デニムのアタリの付き方は、その人のライフスタイルによって大きく変化します。つまりデニムの色落ちとは、言い換えればその人が歩んできた轍(わだち)そのものなのです。

自分が履きたいデニムを買って、必要なときに必要な分だけ履く。その繰り返しによって生まれた色落ちには、良し悪しなどありません。

まとめ

今回は、デニムの色落ちにスポットを当ててご紹介しました。

このように色落ち(エイジング)1つとってもデニムってとても奥が深いものなのです。

そしてこの色落ちこそ、デニムの真骨頂と表現しても過言ではありません。

本日ご紹介したような色落ちの仕組みなどに関する知識をつけることで、また違った観点からより一層深くデニムを楽しむことができるはずです。

世界に1つしかない自分だけの色落ちを目指して、これからもお持ちのデニムをガシガシ履き込んであげてくださいね!