皆さんは「番手」や「デニール」という言葉をご存知でしょうか?
デニムやストッキングに書いてある説明でもよく見かけるこの言葉、実は「糸の太さを表す単位」なのです。
織物の風合いなどにも影響する大切な要素の「番手」ですが、ちょっとややこしい部分が多く、調べていくうちに何が何だか…と分からなくなってしまう人も多い様子。
そこで本記事では、できるだけ「番手」について分かりやすくまとめてみました!
糸の太さの単位とはどのようなものなのか、番手とデニールは何が違うかなど、番手の種類からその分類方法までご紹介いたします。
1 糸の太さを表す番手とデニールとは?
糸には太さを表す単位にはいくつか種類があり、違いがよく分からず混乱している人もいるのではないでしょうか。
繊維や糸の太さをはかる単位に「繊度」といものがありますが、そもそも糸の断面が不均一で複雑なため正確な数値をはかるのは難しいと言われています。
そこで「繊度」のかわりに、糸の重さや長さを用いて間接的に糸の太さを表す「番手」と「デニール」という単位が用いられるようになったそうです。
「番手」と「デニール」にどのような違いがあるか詳しく見ていきましょう。
1-1 番手
「番手」とは糸の一定の重さに対して、どれくらいの長さがあるのかを計算式で算出した糸の太さの目安。
この方法は「恒重式」や「番手式」と呼ばれることもあり、綿や麻、羊毛などの短繊維でできた糸に使われる単位です。
ただし、素材によっても基準となる重量や長さはバラバラ。
例えば、綿の20番手と麻の20番手。同じ「20番手」という太さを表した単位でも、それぞれ基準となる重さや長さがそもそも違うため、実際は太さが全く違う糸ということになってしまうんですよね。
番手の単位は大きければ大きいほど糸の太さは細くなり、小さければ糸の太さが太くなります。
1-2 デニール
絹糸や化学繊維のフィラメント糸など、長繊維でできた糸の単位を表す時の用いられる「デニール」。
「恒長式」や「デニール式」とも呼ばれるこの「デニール」は番手とは逆で、一定の長さ対してどのくらいの重さがあるのかを計算式で表した糸の太さの目安。
デニールの単位も番手とは逆。大きければ大きいほど糸の太さは太くなり、小さければ糸の太さが細いくなります。
2 素材で変わる糸の太さの単位
糸の太さの単位は、綿番手、麻番手、毛番手などの素材で分ける場合もあります。
先ほども少し説明しましたが、同じ番手やデニールの中でも素材によって基準となる重さや長さが変わってしまうところが「番手」がよく分からなくなってしまう要因のひとつではないでしょうか。
ここでは、素材で分けられる番手やデニールの種類と、重さや長さの基準となる値がどのように異なるかを具体的に見ていきましょう。
2-1 番手の単位
番手でよく使われている「綿・麻・毛」。これらの1番手あたりの基準となる糸の重さと長さはどれくらいでしょうか。
「綿番手」と「麻番手」は共に基準となる重さは1ポンド(グラムでいうと453.5gです)。ただし長さが「綿番手」が840ヤード(メートルでいうと768.1m)、「麻番手」は300ヤード(247.3m)と差異があります。
また「毛番手」も基準の重さが1kg、長さが1kmとこちらも違う基準値となり、3種が同じ「1番手」という単位でも糸の太さはすべてバラバラになってしまうんですね。
2-2 デニールの単位
「デニール」の基準となる長さは9000m、重さは1kg。前章でも説明しましたが、「デニール」の単位には長さに対しての重さで計算する「恒長式」が用いられています。
女性の方ならストッキングに書いてある「デニール」という言葉には馴染みがありますよね。デニールの数値が大きい=厚手のストッキングということは皆さんご存知かと思います。
要するにデニールの数値が大きければ糸が太いため、その分厚手のストッキングであるということなのです。
3 テックスとデジテックスとは?
ここまで見ていただいて感じた方もいると思いますが、「番手」や「デニール」といった糸の太さの単位は結構ややこしいもの。
そこで糸の太さを表す単位を分かりやすくするために作られたのが「テックス(tex)デシテックス(dtex)」。
「デシテックス(dtex)、テックス(tex)」はデニールと同様に恒長式で計算され、すべての糸の太さを共通の単位で表すために作られました。
しかし、慣れ親しんだ番手の方がよかったのか、残念ながらあまり普及せず現在ではほとんど使用されていないようです。
4表で見る糸の太さと単位まとめ
ここまで出てきた「番手」「デニール」を素材や基本となる重量や長さでまとめ表にしました。
このようにまとめると分かりやすく理解できるかもしれませんね。
4-1 番手(恒重式)
素材 | 基本重量 | 単位長 | 主な糸 |
綿番手 | 1ポンド(453.6g) | 840ヤード(768.1m) | 綿糸 |
麻番手 | 1ポンド(453.6g) | 300ヤード(247.3m) | 麻糸 |
毛番手 | 1kg | 1km | 毛糸 |
4-2 デニール(恒長式)
素材 | 基本長 | 単位重量 | 主な糸 |
デニール | 9000m | 1kg | 絹糸、フィラメント糸 |
テックス(tex) | 1000m | 1g | 全ての糸 |
まとめ
本日は糸の太さの単位「番手」について、その意味や「デニール」との違い、いくつかある番手の種類についてご紹介しました。
糸の太さは重さや長さを基準として表し、どちらを基準にするかで「番手(恒重式)」と「デニール(恒長式)」に分けることができます。
しかし、そこから素材別に糸の太さの単位が分岐することから、「番手」や「デニール」というものは、分かりづらさの原因になっているのでしょう。
まずはよく使われる「綿番手・毛番手・デニール」の3つの単位がどのように糸の太さを表しているかを理解することが大切です。