「ヌメ革」とは?その特徴や経年変化に関する基本知識

レザー好きなら必ず1つは持っていると言っても過言ではない「ヌメ革」の製品。

日本国内では、栃木県に本社を構える「栃木レザー」あたりが非常に有名ですよね。

別名「タンニンレザー」と呼ばれることもあるヌメ革は、その質感や経年変化など一般的なレザーとは異なる独特の表情を楽しむことができるという点が大きな魅力です。

今回は、そんなヌメ革の特徴や基本知識について改めて詳しくご紹介したいと思います。

取り扱う上での注意点や格好良いエイジングをさせるコツなどについても触れますので、ヌメ革をお持ちの方はぜひ参考にしてくださいね。

1 そもそも「ヌメ革」ってどんな革?

タンニンレザー(ヌメ革)

1-1 植物性の樹液(タンニン)で鞣した革のこと

ヌメ革とは一言でいうと、植物性の樹液(ベジタブルタンニン)を使って鞣した革のことです。タンニンレザーやベジタブルタンニンレザーと呼ばれることもあります。

繊維が締まっているため堅牢な上に、使い込むごとに深まる色合いや質感が大きな特徴。

ちなみに「鞣し(なめし)」とは、薬品や樹液を使って動物の皮を扱いやすくする工程のこと。天然皮革ゆえに起こる柔軟性の低下や腐敗を防ぐ目的があります。

ヌメ革の場合、主にミモザやケブラチョといった樹脂が使用されますが、中国などでは五倍子などが用いられることもあるようです。

1-2 化学薬品で鞣した革はクロムレザーと呼ばれる

ヌメ革とセットで覚えておきたいのが、クロムレザー。

前述したヌメ革が植物性の樹脂を使っていたのに対し、クロムレザーは「塩基性硫酸クロム」と呼ばれる化学薬品を使って鞣します。(クロム鞣し)

柔軟性や弾力性に優れ変色もしづらいため手入れの手間がかからないという点がメリットですが、ヌメ革のような深みのある経年変化はほとんど起こりません。

逆に手入れをあまりしたくないという方は、クロムレザーを選ぶと良いでしょう。

2 国内で最も有名なヌメ革ブランドは「栃木レザー」

国内で最も有名なヌメ革ブランドを挙げるとするならば、やはり「栃木レザー」です。

栃木レザーとは、その名の通り栃木レザー株式会社の製造する天然皮革を用いたヌメ革レザーブランドのこと。

高度な技術を有する熟練の職人さんが、ミモザから抽出した上質な樹脂のみを使って丁寧に鞣していくことで、他のヌメ革には出せない優れた風合いに仕上がります。

今や栃木レザーは、数々の大手セレクトショップでも取り扱われるほどの人気ぶり。ヌメ革製品を購入するなら、まずは候補に入れておきたいブランドの1つです。

3 ヌメ革の持つ3つの特徴

3-1 使い込むごとに増していくツヤ・色合い・風合い

ヌメ革の最大の魅力といえば、何と言ってもその「経年変化(エイジング)」です。

新品のヌメ革はビックリするほど硬くてツヤもほとんどありません。

しかし使い込んでいくうちに、私たちの手肌の脂や染み込んだり、革自体の油分がゆっくりと染み出してくることで徐々に色合いが深まり、ツヤ感も増していきます。

アイボリー色のヌメ革の場合、数年使い込めばすっかり美しいあめ色のレザーに仕上がっているはずです。

3-2 血筋・バラ傷など革の個性を楽しめる

動物の皮を使用している以上、同じ革であっても「個体差」は少なからず存在します。

ヌメ革は、数あるレザーの種類の中でも最もこの個体差を楽しむことができるという点が大きな魅力です。

例えば、血管の痕である「血筋」、原皮にもともとあった「バラ傷」、表面にスジのような模様が入る「トラ」など生きていた頃の姿を彷彿とさせる跡がそのまま残されています。

表面加工などを施さずナチュラルに仕上げているからこそ、雄々しい表情を楽しむことができるわけです。

3-3 丈夫で長持ち

ヌメ革は他のレザーと比べて弾力性や伸縮性が低い分、繊維の密度が高くとても丈夫です。

ガシガシ使い込んでもあまり劣化することはなく、良い意味で革自体が柔らかい質感へと変化していきます。

オイルケアを始め定期的に丁寧にお手入れしながら使えば、5年、10年、20年先と使い続けることもできるはずです。そして長く使えば使うほど、革の表情はどんどん深みを増していきます。

4 ヌメ革の製品を扱う上での注意点

4-1 他のレザーと比べて傷がつきやすい

ヌメ革は他のレザーとは違って、表面にコーティングなどの加工が一切施されていません。言ってしまえば、革本来の状態なのです。

そのためちょっとした摩擦や引っ掻きによって傷付きやすいという性質があります。例えば、爪先が当たってしまっただけでもその部分に薄い傷が残ります。

しかし、そんな傷さえも「味」に変えてしまうという点もまたヌメ革の醍醐味の1つと言えるでしょう。

4-2 水に濡れるとシミができる

ヌメ革を扱う上での注意点は、やはり「水濡れ」です。

前述した通りヌメ革の表面にはコーティングが施されていません。そのため、ちょっとした水滴な付着しただけでその部分がシミになってしまう可能性も。

もちろん全くシミをつけずに使うことは難しいかもしれません。万が一水に濡れてシミができてしまった場合には、オイルケアなどのメンテナンスが必要になります。

5 ヌメ革製品を格好良く経年変化させるコツ

5-1 傷を恐れずガシガシ使い込んで育てる

ヌメ革を格好良くエイジング(経年変化)させるための最大のコツは、傷を恐れないこと。

先ほど「ヌメ革は傷つきやすい」と説明しましたが、摩擦や引っ掻きなど日常的な使用によってできるものは「傷」というよりも「味」です。

また使っていくうちに革自体に含まれていた油分が染み出してきて表面がコーティングされると、使い始めの頃の傷はすっかり気にならなくなります。

あまり神経質になりすぎず、ガシガシ使い込んで育ててあげましょう。

5-2 こまめなブラッシングとオイルケアは必須!

ヌメ革は育て甲斐のあるレザーである一方で、格好良くエイジングさせるためにはこまめなブラッシングとオイルケアは必須です。

表面についた汚れはブラッシングしたり、乾いた布で拭き取ってあげましょう。

しばらく使用しているうちに革の表面がカサカサと乾燥し出したら、市販のクリームを塗り込んで潤いを油分を補給してあげることも大切です。

革のコンディションを良好に保つことで、ヌメ革はより一層柔らかな質感と深い色合いになります。

5-3 とにかく「水濡れ」には細心の注意を払う

格好良くエイジングさせるためにも、ヌメ革を扱う際「水濡れ」にはできるだけ注意しましょう。

雨天の日は特に要注意。水に濡れたまま放置すると濡れた箇所だけが黒ずんでしまったり、膨らみが生じてしまうこともよくあります。

もし水滴が付着した場合には、できるだけ早く乾拭きして水気を取ってあげることが大切です。

まとめ

今回は、レザー好きを虜にする「ヌメ革」について、その特徴やお手入れ方法など基本的な知識を中心に解説いたしました。

植物性のタンニンを使って鞣したヌメ革は、一般的なレザーとは異なる質感や経年変化を楽しむことができます。血筋、バラ傷なども1つとして同じものはないため、必然的に世界に1つだけのレザーになるわけです。

ただし水濡れや汗汚れなどには弱くシミになりやすいため、取り扱いには注意する必要があります。

しっかりとお手入れしながら使えば、購入当初とは全く別物なのではないかと思うほど、味わい深いエイジングを楽しむことができるはずです。

本日ご紹介した基本を押さえて、少しでもヌメ革のことを好きになっていただけたら嬉しく思います。