荒天時やアウトドアシーンなどで大活躍してくれる機能性素材のゴアテックス(GORETEX)。
そんなゴアテックスを使用したウェアのお手入れ、皆さんはしっかりと行っていますか?ゴアテックスは撥水性に優れた素材ゆえに、そのお手入れを忘れられてしまいがちです。
しかしながら、そのままメンテナンスせずに着用していると撥水性が低下したり、素材が次第に劣化してしまうことも。
そこで今回は、ゴアテックスを出来るだけ長持ちさせるために押さえておきたい洗濯方法について、ウェア編とシューズ編に分けて分かりやすくご紹介いたします。
思いの外、かなり簡単にお手入れ可能ですのでぜひ参考にしてくださいね。
1 お手入れ前におさらい!ゴアテックスという素材の話
洗濯方法について説明する前に、そもそもゴアテックスとはどのような素材なのかという基本的な知識についておさらいしておきましょう。
1-1 米国発、WLゴア&アソシエイツ社の開発する防水透湿性素材
ゴアテックス(GORETEX)とは、アメリカに本社を構えるWLゴア&アソシエイツ社の開発した防水透湿性素材のことです。
1976年に登場して以来、その非常に優れた機能性からアウトドアグッズはもちろん、ジャケット、フリース、キャップ、シューズに至るまで様々なアイテムにゴアテックスが使用されています。
ゴアテックスの素晴らしさは、何と言ってもその防水透湿性。「外側からの雨風は通さず、ウェアの内側にある湿気は外に逃がす」という一見すると相反する機能を両立しているのです。
しっかりと防水してくれるのに蒸れずにくく快適な着用感をサポートしてくれます。
1-2 ゴアテックスには2種類ある
ゴアテックスには、ユーザーの目的に応じて柔軟に対応できるよう「GORE-TEX GUARANTEED TO KEEP YOU DRY™」と「GORE-TEX INFINIUM™」の2種類のラインが用意されています。
防水重視の「GORE-TEX GUARANTEED TO KEEP YOU DRY™」
「GORE-TEX GUARANTEED TO KEEP YOU DRY™」は、ゴアテックスの真骨頂である防水透湿性に特化したシリーズのこと。
突然の豪雨や暴風に見舞われやすいアウトドアシーンにも対応した本格的な機能性が魅力です。過酷な気象条件を考慮して設計されていますが、当然ながらシティウェアとしても着用可能。
アクティビティの途中に生じる不快感を大幅に軽減してくれること間違いなしです。
快適性重視の「GORE-TEX INFINIUM™」
一方で、「GORE-TEX INFINIUM™」は防水透湿性よりも柔軟性や快適性を重視したシリーズです。
シティウェアとして着用しやすいスタイリッシュなデザインのアイテムが多い上に、ちょっとした夕立に見舞われた時もしっかり防いでくれる高い防水性も兼ね備えています。
アウトドアウェアの機能性とシティウェアとしての快適性を両立した、ゴアのサラブレッド的存在です。
2 ゴアテックスの洗濯方法【アウター編】
ここからは、ゴアテックスの具体的なお手入れ方法について詳しくご紹介します。
まずは、ゴアテックス素材を使用したアウターの洗濯方法から確認していきましょう。
2-1 まずは洗濯表示タグを確認する
いきなり洗濯するのではなく、まずは製品についている「洗濯表示タグ」を確認しましょう。
ほとんどのゴアテックス製品が洗濯可能ですが、モノによってはお手入れ時の取り扱いに注意しなくてはならないケースもあります。
ちなみに最近発売された「GORE-TEX SHAKEDRY™」というゴアテックスの超軽量シリーズは、乾燥機、アイロン、ドライクリーニングなどを行うことができません。念のため頭に入れておきましょう。
2-2 あらかじめ準備しておくものリスト
洗濯表示タグを確認したら、いよいよ洗濯の準備に入ります。
以下の2点をあらかじめ用意しておきましょう。
- 洗濯用ネット
- 洗濯用洗剤(何でもOK。ただし塩素系漂白剤などの使用は不可
2-3 簡単4STEP!ゴアテックスアウターの洗濯手順
STEP1 ファスナーやベルクロを全て閉めて洗濯ネットに入れる
まずはファスナーやベルクロなどを全て閉め、一度たたんでから洗濯ネットに入れましょう。
これは洗濯時に開けっ放しのファスナーやベルクロが引っかかって生地を傷つけてしまうのを防ぐためです。念のため、以下のリストをしっかりとチェックして、閉め忘れがないかどうか確認してくださいね。
逆に、コードや収納フードは全て広げておきましょう。収納したままにしておくと洗いムラの原因になります。
洗濯前に!ファスナー閉め忘れチェックリスト
- 前びらきのファスナー
- 前ポケットのファスナー
- サイドポケットのファスナー
- 内ポケット部分のファスナー(※忘れやすいので要注意!)
- 袖口のベルクロ
STEP2 40ºC 以下のぬるま湯で、少量の液体洗剤洗う
続いて、家庭用の洗濯機の中にゴアテックスの入った洗濯用ネットを入れます。さらに少量の液体洗剤を入れ、汚れを落としやすくするために40℃以下のぬるま湯を使って洗っていきましょう。
洗濯洗剤が残留しないよう、すすぎは2回程度行うことをおすすめいたします。
ただし脱水にかける必要はありません。防水透湿素材を家庭用洗濯機の脱水にかけると故障の原因となるからです。
STEP3 水を切って風通しの良いところで陰干しする
すすぎが終わったら、まずはお風呂場などで軽く水を切ってあげましょう。
水を切った後は、ハンガーなどにかけて風通しの良い場所で陰干しします。実はこの「陰干し」がとても重要!太陽から発せられる紫外線によって生地が劣化してしまう可能性があるからです。
完全に乾ききるまで少し時間がかかるかもしれませんが、自然に乾燥するのを待ちましょう。
STEP4 完全に乾き切ったら乾燥機に20分かける
さていよいよ仕上げです。陰干ししておいたゴアテックスが完全に乾いたら、ここでもう一度乾燥機にかけます。
なぜ既に乾いてるものをわざわざ乾燥機に入れるの?と疑問に思われるかもしれませんね。実は、ゴアテックスという素材は加温することで、表生地の耐久撥水加工(DWR)を回復させることが出来るのです。
乾燥機は、15〜20分程度を目安に入れてあげましょう。こうすることで撥水性がかなり回復します。
しかしながら、前述した通り「GORE-TEX SHAKEDRY™」のような製品は乾燥機にかけることができません。もし洗濯表示タグに「乾燥機不可」という旨の記載がある場合、当て布をしてアイロンをするだけでも撥水性が回復します。
ただし、アイロンの設定は必ず「スチーム無し」なおかつ「低温」にしておきましょう。
3 ゴアテックスのお手入れ方法【シューズ編】
アウターに続いて、今度はゴアテックスシューズのお手入れ方法について解説いたします。
シューズはその性質上、アウターのように丸洗いすることはできません。
3-1 まずは素材を確認する
お手入れの前にまずはシューズに使用されている素材を確認してください。
トレッキングシューズのようなアイテムの場合、ゴアテックスに加えて部分的にレザーが使われている場合もあるからです。レザーを使用している製品の場合は、各メーカーの指示に従いましょう。
3-2 あらかじめ準備しておくものリスト
必要なものをあからじめ用意しておきましょう。
ゴアテックスシューズのお手入れに必要なグッズは、主に以下の4点となります。特に、靴用クリーナーに関しては、百貨店や靴専門店などで必ずゴアテックスにも対応した製品を選ぶようにしてください。
準備しておくものリスト
シューケア用ブラシ
ゴアテックス対応の靴用クリーナー
歯ブラシ
要らないタオル又は雑巾
3-3 簡単3STEP!ゴアテックスシューズのお手入れ手順
STEP1 シューレースを外しインソールを取り出す
まずはお手入れ前の下準備から始めます。
シューレース(靴紐)を外して、インソール(中敷)も取り出しましょう。特にシューレースを外すのは少し面倒かもしれませんが、外しておかないと、お手入れしづらくなってしまいます。
STEP2 クリーナーとブラシを使って汚れを落とす
ゴアテックスの場合、表面に汚れが付着することで防水透湿性のパフォーマンスが低下してしまうこともあります。パフォーマンスの低下を防ぐためにも、靴用クリーナーとブラシを使って汚れをしっかりと落としていきましょう。
特にアッパー部分に付着した汚れはクリーナーとブラシで落としつつ、浮いた汚れをこまめに濡れタオルで拭き取りながら行うことをおすすめいたします。
アウトソールの汚れは、一旦ぬるま湯で落とします。凹凸部分に石や土などが詰まっている場合は、歯ブラシを使って掻き出してあげると良いでしょう。
STEP3 風通しの良い場所でしっかりと乾かす
汚れを落としたあとは、風通しの良い場所で陰干ししてあげましょう。
アウター編でも説明した通り、太陽の紫外線はゴアテックスを劣化させてしまう恐れがあります。なので乾かす際は、必ず「陰干し」を行うことが重要です。
完全に乾ききるまで2日程度かかるかもしれませんが、どうしても早く乾かしたい時もあることでしょう。ゴアテックス公式によると、その場合は対流式のブーツドライヤーであれば使用可能のようです。
ちなみに仕上げの撥水スプレーに関しては、ゴアテックスでは推奨されていません。
4 お気に入りのゴアテックスを長持ちさせるために
洗濯の他に、お気に入りのゴアテックスを出来る限り長持ちさせるための方法をいくつかご紹介いたします。
4-1 直射日光を避け折りたたまずにハンガーにかけて保管
ゴアテックスを保管する際は、ハンガーにかけクローゼットなど陽の当たらない場所にしまっておきましょう。
特に直射日光の当たる場所は要注意。ゴアテックスを太陽の光に当てたまま放置しておくと、生地の変色や素材を劣化させてしまう可能性も考えられます。
些細なことかもしれませんが、ちょっとした部分に気を使うだけでもゴアテックスの劣化を防止に繋がります。
4-2 数着用意してローテーションする
ゴアテックスは比較的耐久性の高い素材ですが、だからと言ってヘビーローテーションしすぎるのはNG。
お気に入りのアイテムだと毎日着用したくなる気持ちも分かります。しかしながら、ゴアテックスも通常のアイテム同様、着用回数が多くなればなるほど劣化のスピードも早まります。
着用しない日を作る、若しくは2,3着用意してローテーションするのがおすすめです。
4-3 水を弾かなくなってきたら撥水剤で回復を
ゴアテックスの魅力はその撥水性の高さですが、着込んでいくにつれて次第に水を弾かなくなっていきます。
先ほどもご紹介した通り、乾燥機にかけてあげることで撥水性が回復するケースがほとんどです。しかしながら、あまりに着用年数が長いと、この方法でも撥水性が回復しない場合もあります。
そんな時は、市販の「撥水剤」というグッズを使ってみましょう。
簡単5STEP!撥水剤の正しい使い方
- あからじめウェアの汚れを落としておく
- バケツに40℃以下のぬるま湯を張り、撥水剤を入れる(目安量はラベルに記載されています)
- ゴム手袋を着用し、バケツの中でウェアをもみ洗いする
- もみ洗い後に10分ほど浸して放置する
- 最後に洗濯機で脱水し、乾燥機にかける
これを行うだけで、撥水性が見違えるほど回復します。騙されたと思ってぜひ一度お試しください。
まとめ
今回は、ゴアテックス(GORETEX)のお手入れ方法を中心にご紹介しました。
ゴアテックスを使用したウェアは、他のアイテムと比べてかなりお値段も張りますよね。出来るだけ長く着用するためにも、メンテナンスには気を使いたいところ。
面倒とは言っても、カシミアやシルクといった素材に比べればかなりお手入れしやすいはずです。
日頃から身を呈して雨風から私たちを守ってくれるとっても健気なゴアテックス…。
機能性素材だからと今までお手入れを怠ってしまっていた方も、日頃の感謝の気持ちを込め、この機会にぜひ丁寧にメンテナンスしてあげてくださいね。