知っておきたい「帆布」のお話。特徴、歴史、号数など基本を徹底解説!

皆さんは「帆布」という字面を目にした時、どのような素材をイメージしますか?

実は帆布とはトートバッグなどにもよく使われる「キャンバス地」のこと。特に夏場になると白のキャンバストートバッグを使う方を街中でもよく見かけますよね。

そんな私たちの生活にとって身近な帆布ですが、生地自体の持つ特徴や性質などについて知っている方は意外と少ないようです。

そこで今回は、そもそも帆布とはどのような生地なのかという基本についておさらいしつつ、その特徴、歴史、厚み(号数)に関する知識に至るまで徹底解説いたします。

1 そもそも「帆布(はんぷ)」ってどんな生地?

帆布生地

そもそも「帆布」とはどのような生地なのでしょうか?基本的な知識について確認しておきましょう。

1-1 帆布とは綿麻を使い「平織り」で作られた生地

帆布とは、綿糸や麻糸を使い「平織り*」で作られた生地のことです。「キャンバス(canvas)」や「ダック(duck)」と呼ばれることもあります。

どちらかというと「キャンバス」という表現が馴染みが強いかもしれませんね。

ガッシリとした質感と自然な風合いが特徴的で、工業用途からファッションアイテムに至るまで幅広いシーンで活躍している素材の1つです。

*経糸と緯糸を交互に浮き沈みさせて織る方法のこと。摩擦に強く丈夫な生地になる。

1-2 意外と身近な所で使用されている

帆布(キャンバス)というと一般的に人気の高いトートバッグ、ポーチ、靴といったアイテムばかりが思い浮かぶかもしれませんね。

実は、これら以外にも意外と身近なところで帆布生地が活躍しています。

例えば、油絵の画材、運動会などで使われるテント、跳び箱の最上段、ハンモック、相撲部のまわし、運搬用袋などもほとんどが帆布。

他にも挙げればきりがありませんが、実に様々なシーンで利用されていることがよくお分かりいただけるかと思います。

1-3 生産の約7割は岡山県倉敷市

日本国内における帆布生産の約7割は、岡山県倉敷市が占めています。倉敷といえば、デニムの名産地としても有名ですよね。

造詣の深い熟練の職人さんが多く、特に折るのが至難とされる1号〜3号の帆布を織ることができるのは倉敷にある帆布工場だけだと言われています。

倉敷で製造された帆布は「倉敷帆布」とも呼ばれ、アパレルメーカーからも重宝されているのだとか。

倉敷以外だと、京都、滋賀県高島、広島尾道も質の高い帆布の生産地として有名です。

2 帆布の歴史は古代エジプト時代まで遡る

帆布の歴史はとても長く、古代エジプト時代まで遡ります。

当時の帆布は麻の一種として知られる「亜麻(リネン)」から作られており、主に船の「」の部分の生地として使われていたのだとか。またミイラを包む際の「巻布」にも帆布が用いられていたとも言われています。

つまり帆布は、紀元前の頃から人々の生活と密接に関わっていたわけです。

そんな帆布が日本で使われ始めたのは室町時代。かの有名な武将の1人、織田信長の帆船に利用されたのが日本における帆布の始まりだと言われています。

その後、江戸時代になると実業家の工楽松右衛門によって「松右衛門帆」が発明され、これが全国へと広まっていきました。

現在は、衣料品はもちろん工業用途に至るまで様々なシーンで活躍しています。

3 帆布素材の特徴

3-1 厚手で丈夫、通気性にも優れている

帆布は、生地も厚くとても丈夫な上に通気性にも優れているという点が特徴。

その強度ゆえに、かつては船の「帆」の部分にも使われていたほど。強い海風に吹かれてもへこたれないそのタフな素材感は、古くから人々の生活の強い味方でした。

質感はザラッとしているためTシャツなど肌に触れるアイテムには向かないものの、トートバッグやポーチなどの素材として重宝されています。

ヘビーユースできるその耐久性の高さは、帆布の大きな魅力の1つと言えるでしょう。

3-2 使い込むごとに増していく風合い

使い込むごとに増していく風合いもまた、帆布の持つ魅力です。

特に生地の厚みがある帆布であるほど、ガシガシと使い込んでいくに連れて、非常に味わい深い経年変化を楽しむことができると言われています。

まるでインディゴデニムや本革のアイテムのような、”育てる楽しみ”を実感することができることでしょう。

また後ほどご紹介しますが、糊付けやパラフィン加工などの施されている帆布の場合、無加工のものとはまた違ったエイジングを楽しむことができます。

4 帆布に施される加工

帆布には、糊付け、パラフィン、ラミネートといった加工が施されることもよくあります。

各種加工のメリットや、加工によって変化する風合いの違いなどについて見ていきましょう。

4-1 糊付け

帆布に施される加工の中でも最もメジャーなのが「糊付け」です。

新品のキャンバストートバッグを触った時、パリッとした独特の肌さわりを感じたことはありませんか?実はあの質感は、帆布の表面につけられた「糊」によるもの。

この糊のおかげで型崩れしづらくなる上に、使い込むごとに表面の糊が徐々に落ちていくにつれて独特のクタッとした質感を楽しむことができます。

4-2 パラフィン加工

帆布の撥水性を高め、使い勝手をよくするために施されるのがパラフィン加工です。

パラフィンとは要するに「蝋(ロウ)」のこと。帆布に使用される綿や麻は、そのままの状態だと水を吸いやすいという性質があります。

パラフィンで生地の表面をコーティングすることで防水性・撥水性を高め、雨天の日でも使いやすくなるわけです。糊付け同様に型崩れの防止効果はもちろん、独特の経年変化も楽しめます。

4-3 ラミネート加工

パラフィン加工同様、生地の防水・撥水性を高めるために施されるのがラミネート加工です。

帆布の表面に透明なビニールフィルムをコーティングすることによって、防水性はもちろんカビや汚れなども防ぐ効果が期待できます。

前述した2つの加工方法と比較すると経年変化を楽しむという点では劣りますが、帆布製品をできるだけ綺麗な状態で長く使いたいという方にはおすすめです。

5 帆布は「号数」によって質感が異なる

帆布は、糸の組み合わせに応じて生地の厚みが大きく変わります。この糸の組み合わせに応じた生地の厚みを「号数」と呼び、糸の番手、撚りの本数、縦糸と密度、生地の重さに応じて1号〜11号まで存在するのです。

以下の表には1997年まで存在した綿帆布のJIS規格を元にした、号数に対応する生地の厚みがまとめて記載されています。

号数一覧表

号数 原糸撚り 密度(本) 重さ
番手 経糸撚り数 緯糸撚り数 経糸 緯糸 g/m2
1 8 6 7 26-30 16-20 1014
2 8 5 6 28-32 19-23 948
3 8 5 5 28-32 19-23 882
4 8 4 4 29-33 18-22 816
5 8 4 3 32-36 22-26 750
6 8 3 3 32-36 23-27 683
7 8 3 2 36-40 28-32 617
8 16 4 4 34-48 24-28 544
9 16 4 4 44-48 33-37 510
10 16 3 3 45-49 34-38 429
11 16 3 3 43-47 39-43 343

号数が1に近づくほど生地が分厚くガッシリとした質感になります。

どちらかというと工業用途のイメージが強いかもしれません。

逆に号数が11に近づくほど本来の帆布特有の肉厚感は薄れ、エコバッグなどにも用いられる比較的柔らかい生地感になります。

6 帆布にもデメリットはある

丈夫な上に、使い込むごとに経年変化まで楽しめる帆布素材。しかしながら決して万能な素材ではありません…。長く使っていくうちに以下のようなデメリットも生じてきます。

6-1 カビができやすくお手入れが必要

一般的なコットン素材と比較すると、帆布にはカビができやすいという欠点があります。

元は帆船として利用されていたとはいえ、雨に打たれびしょ濡れになった状態で放置すると、繊維の奥に黒カビが発生してしまうことも…。

特に、染色等施していないオフホワイトカラーの帆布の場合、黒カビによる黒点が生じることで周囲に不衛生な印象を与えてしまうこともあります。

もし雨に濡れたりした場合には、風通しの良い場所でしっかりと乾かしてあげることが大切です。

6-2 素材の性質上、洗濯がしづらい

帆布は素材の性質上、洗濯がしづらいという点もデメリットの1つ。

冒頭でも説明した通り帆布はデニムと同じく、綿糸を平織りした密度の高い素材。折り曲げた時のシワが元に戻りづらいという性質があります。

そんな帆布を洗濯機にそのまま放り込んで洗ったり脱水にかければ、強いシワが残り、せっかくの風合いが台無しになってしまうことも..。

面倒かもしれませんが、もし洗濯をしたい場合は手洗いすることをおすすめいたします。以下の記事では、キャンバス地の洗濯やお手入れ方法についてご紹介していますので、ぜひ読んでみてくださいね!

まとめ

今回は、歴史ある帆布(キャンバス地)素材の持つ特徴や種類を中心にご紹介しました。

いかがでしたでしょうか?帆布って意外と奥の深い素材だと思いませんか?

古くから帆船としても利用されてきたほどタフな帆布は、今では単なる工業用途としての素材という枠を超えて、バッグや小物をはじめとした数多くのアイテムに使用されています。

本日ご紹介したような素材自体の持つ特徴や性質について知ることで、帆布素材を使用した製品の良さをより一層感じることができるはずです。