独特の質感で人気の「ブライドルレザー」とは?その特徴や有名タンナーについて

私たちが日々愛用しているレザーアイテム。

中でも、財布やバッグといった小物系に使われている「ブライドルレザー」という革素材をみなさんはご存知でしょうか?

ブライドルレザーとは、たっぷりの蝋を染み込ませた革のこと。一般的なレザーとは質感がかなり異なるため、シンプルなレザーに飽きてしまった方にもオススメ。

本記事では、そんな「ブライドルレザー」の特徴やお手入れ方法を始めとした基本を中心に、レザー好きなら知っておきたいブライドルレザーを手がける有名なタンナーに至るまで詳しくご紹介します。

1 ブライドルレザーとは?

ブライドルレザーとは、蝋引き加工された革のことを指します。

元は、馬の口の前歯と奥歯の間に棒を通し、手綱など頭部につける「馬勒」と呼ばれる馬具に用いられる革でした。

ブライドルレザーは、今から1000年以上前の14世紀頃のイギリスで騎手や貴族のために製作されていた伝統的な製法です。

天候が不安定なイギリスでは、雨の降る日が多く通常のレザー素材ではそういった雨や馬の汗、唾液などで革の耐性が段々と弱くなってしまいます。それを防ぐために用いられたのが、ブライドルレザーのルーツである蝋引き加工でした。

使われている皮は牛革で、耐久性を高めるために何度も蝋を塗り込むで皮の繊維を引き締めているのが特徴です。元々は馬を拘束するための手綱のために作られているので、強度があり、頑丈な作りとなっています。

2 ブライドルレザーの特徴

ブライドルレザーの特徴

2-1 高い耐久性

ブライドルレザーの特徴は、その耐久性にあります。

元々硬い牛革をさらに硬くしようと耐久性を高めるために、何度も蝋塗り加工し繊維を引き締めることでより強度を何倍にもしていきます。

こうして、表面にはハリのある強い質感と非常に高い耐久性が備わり、お手入れなど日頃のケア次第で、何十年もの使用にも耐えられる革素材とされているのです。

また、指で軽く押してもしっかりとした跳ね上がりが感じられます。さらに指で弾くと、コツンと、本来革素材では絶対に鳴らない音がするほどコーティング具合に磨きがかかっているのも特徴の1つと言えるでしょう。

2-2 蝋加工による独特の「ブルーム」

ブライドルレザーアイテムには表面に白い粉状のものが付着しています。

これは「ブルーム」と呼ばれ、その正体は、革素材の耐久性を高めるために蝋を塗り込む作業で革に染み込ませたワックスです。新品のブライドルレザーにはブルームがハッキリと浮き出ています。

ブルームには撥水効果もあるため、革素材の大敵である水濡れにも強いという点もメリットです。

ちなみに使い込んでいくとブルームは徐々に落ちていってしまいますが、同時に革本来の美しい光沢感が現れます。この独特の経年変化もまた、ブライドルレザーの持つ大きな魅力の1つです。

3 ブライドルレザーを作り出す有名タンナー

ブライドルレザーを作り出す有名タンナー

ブライドルレザーはイギリス発祥のため、イギリスでの革業者が多く存在しています。

そこで、ここではブライドルレザーを作る有名タンナーをご紹介していきます。

3-1 セドウィック社

セドウィック社は、1900年にイギリスで誕生した老舗タンナーです。

特にブライドルレザーの製造において最も有名な会社と言えるでしょう。日本国内でも、セドウィック社のブライドルレザーが多く流通しています。

セドウィック社の製造するブライドルレザーは、セミリアン製法という独自の製法で革の表面を仕上げています。これにより、他のタンナーと比べ、艶感があり表面にシワや傷の跡が少ないのが特徴です。

革の丈夫さや質感の良さから財布やビジネスバッグなどの素材としても人気があります。

3-2 クレイトン社

クレイトン社は創業1840年でこちらも老舗タンナーです。約180年もの歴史がありイギリス全体でも屈指の歴史を誇る企業の1つ。

ハッキリとしたブルームのトラディショナルタイプ、そして柔らかくマットな質感のモダンタイプという2種類のブライドルレザーを展開しています。

カラーバリエーションも非常に豊富なので、発注側のデザインやコンセプトを反映しやすいというメリットも。

180年もの間培っていきた伝統と格式を守りつつも、現代の企業のニーズに対応できるようフレキシブルな生産体制を敷いているのが特徴です。

3-3 トーマスウェア社

トーマスウェア社は創業1860年で160年の歴史を誇るタンナーです。

非常に質の高い原皮を用い、1年もの時間をかけてじっくりと蝋を染み込ませた最高品質のブライドルレザーは、世界中から高く評価されています。

蝋がたっぷりと染み込んでいるため、ブルーム好きにはたまりません。

ひび割れも起きづらいため、メンテナンス性も抜群。5年、10年先も使いたくなる魅力的なブライドルレザーを世界に向けて発信しています。

3-4 グレードレザー社

グレードレザー社は、1991年にイギリスのケント州で誕生したタンナーです。

創業100年以上の歴史を誇る老舗タンナーの多いイギリスでは、比較的新しいタンナーと言えるでしょう。

新参だからといって侮ることなかれ。独自の製法を用いて蝋を革内部まで染みこませることで、一般的なブライドルレザーよりも濃く強いブルームを楽しむことができます。

ブルームの質感だけで言えば、前述したトーマスウェア社以上。

とにかくブルームの質感を楽しみたい!という方にはうってつけです。

3-5 ベイカー社

ベイカー社は創業1860年、伝統を守り続ける格式高きタンナーです。

正式名称は「J&FJBAKER&CO Ltd」と言い、日本では「ベイカー」や「Jベイカー」と呼ばれています。

世界的にも珍しい、希少なオークの木から抽出されたタンニンエキスを使用して鞣す「オークバーグ」と呼ばれる製法を用いることでも有名です。

鞣しの工程だけで1年半要するため、生産効率がとても低く、市場への流通量もごくわずかとなっています。

革の芯にまで蝋が染み込むように加工しているため、ワイルドな見た目かつ繊細な風合いを楽しむことができます。

4 ブライドルレザーのお手入れ方法

ブライドルレザーのお手入れ方法

革製品は何もお手入れせず使用し続けると段々と劣化していきます。そうならないために、使用後や日々のお手入れはきちんと行いましょう。

4-1 汚れを落とす際は乾いた布で優しく丁寧に

まずはじめに、日々使用しているとどうしても何かしらの汚れがついてしまう場合があります。

そんな時は、乾いている布を使って優しく撫でるように拭いていきましょう。

強く擦るように拭いたり力を入れながらゴシゴシしてしまうと、ブライドルレザーの表面に浮き出ているブルームが汚れと一緒に拭き取られてしまうからです。

そうすると、せっかくの光沢感やハリが失われてしまう恐れがありますので、注意しましょう。

4-2 栄養補給用にクリームを塗る

ブライドルレザーアイテムの表面が乾燥してカサカサが気になってきたら、栄養補給クリームをムラなく塗ってあげましょう。

このクリームは基本的に革の栄養補給を目的としているため、汚れ落としには使えません。

ちなみに購入当初はブルームがたくさん残っている状態なので、クリームや防水スプレーなどの使用は控えましょう。

4-3 水対策用に防水スプレーを吹きかける

ブライドルレザーは元々、何度もオイルや蝋を染み込ませる製法をしており、堅牢性を高める他ワックスのような防水効果も期待できます。水にも耐性があると言えるでしょう。

しかし、本来革は、水に弱くそのまま放置しておくとシミやカビの原因となってしまいます。

そうならないためにも雨の日の使用前は必ず防水スプレーを少し離して吹き掛けてあげましょう。

まとめ

今回は、財布など小物によく用いられているブライドルレザーについてご紹介しました。

ブライドルレザーは他の革素材と違い、ブルームという白い粉状のものが浮き出ています。これが独特の光沢感やサラサラとした質感やハリを楽しませてくれます。

たっぷりと染み込んだ蝋が水を弾いてくれるため、ある程度の耐久性も兼ね備えているという点もブライドルレザーの特徴です。

とはいえ、ブライドルレザーも革素材なので、色々とデリケートな部分があります。日々のお手入れはしっかりとこまめにしてあげるのも大切です。